関口 陽(ひなた) (7)

「何か、やりにくい……」

 顔を見合せている笹原ささのはらがそう言い出した。

「へっ? ど〜ゆ〜事? 何が?」

表情かおが見えないと、イマイチ、調子が狂う」

 言われてみりゃ、そうだ。

 でも、この前、千代田区Site01で、ラン達と暴れた時は、表情かおが見えないからやりにくいなんて事は……。

 ああ、そうか。

 「本土」の「正義の味方」達は、お互いの表情かおが見えない状態で一緒に戦ってるからこそ、先月末に「本土」の「正義の味方」達と共闘した時に、「Yes/Noがはっきり判るように答えろ」とか言われたし、ランは言いたい事をズバズバ口にするよ〜な性格になったのか……。

「で、どうなんだ? そのチビの言ったように『魔法』で、生きてる人間が、どの辺りに何人居るか探れねえのか?」

 周囲を「観」るんじゃなくて、単に「見」る。

 精度は落ちるが、こちらは何もせずに……えっと……何てんだっけ……ああ、そうだ受動的に周囲の「気」を探る。

 一度、建物ごと「清め」られてんで、魔物や悪霊は、ほぼ消えてるみたいだ。

 しかし、人間に取り憑いてる奴は……取り憑いてない奴よりは「清め」の効果が薄れてるだろう。

 だが、今までに見付けた2人は、除霊されてるようだ。

「大丈夫そうだな……」

「まぁな……」

 私と笹原ささのはらがそう言った途端……。

「問題でも有るのか?」

 ランがそう訊いてきた。

「いや……その手の術を使うと……探った相手にも気付かれる」

「居るには居るが……心配する程の数じゃない筈だ。心配すべきは……ゾンビもどきのままのヤツだ。取り憑いてる魔物や悪霊に気付かれる」

「じゃあ、気付かれたら……こっちに寄って来るのか?」

「ああ……」

 いや、待てよ……。

「まずは、狭い範囲を探ってみる。そうすりゃ、ゾンビもどきが寄って来るかも知れないけど、どの程度、剣呑ヤバいかの見当は付く」

「じゃあ、やるか……」

 そして、私と笹原ささのはらが探索用の「気」を放ったその直後……。

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