高木 瀾(らん) (5)

「『魔法』で何とかならないか?」

 私がそう提案した時、「魔法」を使える2人が顔を見合せ……。

 しばらくしてから、何故か「寛永寺僧伽」の笹原ささのはらが頭を掻く。

「何か、やりにくい……」

「へっ? ど〜ゆ〜事? 何が?」

 そう訊いたのは関口。

表情かおが見えないと、イマイチ、調子が狂う」

「で、どうなんだ? そのチビの言ったように『魔法』で、生きてる人間が、どの辺りに何人居るか探れねえのか?」

 続いて「原宿Heads」のリーダーが訊く。

「大丈夫そうだな……」

「まぁな……」

「問題でも有るのか?」

「いや……その手の術を使うと……探った相手にも気付かれる」

 ああ、昨日の晩、関口が言ってた事か……。

 「気」を「観」ると、「観」られた側の気にも影響を与える。

 そして、その相手が自分の「気」を操る訓練を受けた者なら、「観」られた事に気付く。

 だが……。

「それって、相手も『魔法使い』の場合の話だろ? ここには、『魔法使い』の受刑者でも居るか?」

「居るには居るが……心配する程の数じゃない筈だ。心配すべきは……ゾンビもどきのままのヤツだ。取り憑いてる魔物や悪霊に気付かれる」

「じゃあ、気付かれたら……こっちに寄って来るのか?」

「ああ……」

 関口達は少し考え込み……そして……。

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