関口 陽(ひなた) (4)

 ランの言う通り、相手が私を舐めてくれてるから、まだ、無事で済んでる。

 冗談抜きで、魔法無しだと、私の全力が3〜4に対して、油断してる状態の相手が6〜7ぐらいの感じだ。

 相手の油断を突くにしても、一撃で倒せないと……多分、その後は更に苦しくなる。

『ええっと、もし、負けたとしても、そっちの「自警団」の宣伝になればいいんなら……』

「何だ?」

『見た目だけは派手な奇策って、何か無いか?』

 とうとう、ランまで適当極まりないアドバイスを……いや、待てよ……。

 一端、何とか、相手と距離を取る。

「セコンドから、いいアドバイスでももらったか?」

「まあな……」

 私は武器であるハンマーを大きく振り上げ……ハンマーの先端を背中に隠す。

 相手は鼻で笑い、錫杖を再び多節鞭に変え、高速で振り回し始め……。

「おりゃああ……」

 私は全力で……ハンマーを叩き込む。

 相手ではなく、地面に。

「なっ?」

 コンクリにヒビが入り……私の体は反動で浮き……。

 片手でハンマーの柄を持ったまま、相手の顔を狙って飛び蹴り。

 相手は、思わず多節鞭を捨てて、両手をクロスさせ顔を守る。

 顔にこそ当らなかったが、相手の体は蹴りの衝撃で後退。

 私もハンマーから手を離し、相手との距離を詰め……体を掴み……。

「うおおおお……ッ」

「なっ?」

 私は、相撲のすくい投げみたいな感じで、相手の体を地面に叩き付ける……。

 地面と言ってもコンクリだ。

 相手がダメージで立ち上がれない内に、再び、ハンマーを手にして……。

「はい、『参りました』は?」

「ふ……ふざけるな……」

 だが、その時、相手のセコンドが、タオルを投入した。

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