第14話 奮起

 「考えてみればこのようなことを陛下に任せるなど、

我々があまりに不甲斐ない。」


 そうオルガ大臣は嘆く。


 「確かに、今になって自分の弱さを痛感しています。」


 官僚の一人、シールド・ホリスも大臣に同調する。


 普通に考えてシールドは官僚なのだからこう思うことはないのだが、

勇気を出して出立した国王を見て心を動かされていた。


 官僚ではなく、一人の男としてだ。


 「とにかく、我々にできるのはこの王都を守り抜くことだ。」


 オルガ大臣が力を込めて言うと、周りにいる官僚たちも奮起するのだった。

ただ何ができるわけでもないのだが・・・。



 「こ、これは陛下!?」


 本陣で指揮を執るリマ団長は陛下の登場に目を見開く。


 「ここは危険ですから、お引き下がりください!」


 リマ団長は強い口調でこう言ったが、ここまで来た俺が引き下がるわけがない。


 「俺はしばらくここにいる。もし皆が死ぬときはこの俺も一緒だ。」


 「陛下・・・!」


 俺がやってきたという話は敵味方双方に流れ、

敵はともかく味方に大きな覚悟を与えた。


 (勇気を出して来てくれた陛下をお守りせねばならない!!)


 実際の指揮はリマ団長にお任せだったが、俺ってこんなにすごかったっけ?

そう思ってしまうぐらい国軍の士気は上がり、形勢は逆転する。


 「これはどういうことだ、ヨナファルド!」


 ネイル王子がヨナファルドに詰め寄る。

ビブン王子もまたヨナファルドを見つめた。


 「・・・・・・!」


 ヨナファルドは口を開けたまま何も喋らない。

呆然としてしまっていた。


 (ま、まさか陛下が自らやってくるとは、想定外であった・・・!)


 反乱軍は次々となぎ倒されていく。

そんな中、ネイル王子の一言があろうことか仲間割れを引き起こしたのだ。


 「ど、どうするのだヨナファルド!このままでは玉座に座る話が

なくなってしまうではないか!」


 「な、なんだって!?王位に就くのはこの俺だ!」


 「でたらめなことをいうな、俺はヨナファルドから公認を受けているのだぞ!」


 「え、俺だってヨナファルドから公認を受けているぞ・・・。」


 その場が一瞬静まり返る。

そしてヨナファルドは額の汗を拭い始めた。


 「おい、じじい!これは一体どういうことだ!?」


 「ひ、ひえっ!!」


 こうしてヨナファルドは二人の王子によって切り裂かれたのだ。

また、二人の王子も仲間割れをしているうちに包囲され、

屈強な国軍兵士によって首をはねられた。


 「勝ちましたぞ、陛下!」


 リマ団長が嬉しそうに声をかけてくると、

国軍兵士たちが誰に言われることもなく両手を上げだす。


 「国王陛下、万歳!」


 「国王陛下、万歳!」

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