第9話 予感

 「そういえばオルガ大臣が言っていた二人の王子がどこにいるのか、

パールは知ってる?」


 ある日の夕方、一通りやることを終えた俺は

近くにいたパール宮女長に聞いてみる。


 「詳しいことは存じ上げませんが、ネイル王子とビブン王子は共に

北部にいるようです。」


 「北部・・・。」


 いまいちピンとこない。

当たり前だ、俺はまだこの国のことをよく知らない。

 俺はパール宮女長に地図を持ってくるように命じる。

するとサラス宮女が書庫の方へと走っていき、随分と大がかりな地図を持ってきた。


 (別にこんな大きくて詳しい地図じゃなくてもいいのに・・・。)


 内心そう思う俺だが、それは心の中で言うとして地図を見る。

どうやら自分に近い方が南らしい。


 「ということは奥が北部ということか・・・。」


 これにパールは頷く。


 「それで、ネイル王子とビブン王子は同じところにいるのかな?」


 俺の言葉にパールは首を横に振る。


 これくらいだったら良かったのだが、その隣にいるサラスが一言。


 「陛下はオルガ大臣の言うことを聞いてなかったのですか?」


 そうだ、そういえば二人は仲が悪いんだっけ。それにしてもサラスは

思ったことを口に出すな。それさえなければ完璧なんだけど。


 「サラス、人聞きの悪いことを言ってはいけませんよ。」


 すかさずパールがサラスをたしなめる。

これにサラスは口を膨らませた。


 「・・・ということは二人は未だに距離をおいているということだね。」


 「はい、そういうことになります。」


 俺は二人の王子の身になって考えてみる。

自分が国王になれなかったのはもう一人の王子のせいだ、とも思っているだろうし

何よりなぜあんな奴(俺)が国王になったのだ・・・こう考えているに違いない。


 (確かに先帝の言う通りどちらかの王子を国王にすることは

難しかったのかもしれない。

でもあの二人が結託して俺に挑んでくることってあり得ないのかな?)


 こう考える俺の予感は見事に的中してしまうのである。

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