第8話 反論
(もしかして俺って国王を楽しんでいるのか・・・?)
寝起きでぼんやりとする脳内にふとこんなことが浮かぶ。
(当然、大変なことだし両親にも会いたいけど、
いい刺激になっているのは確かだ。)
そんなことを考えながら立ち上がり、正装に着替え始める俺。
ご丁寧なことに2人の男―雑用係が着替えの手伝いまでしてくれる。
(確かに着慣れない服だからありがたいんだけど、
ここまでしてもらうのは・・・。)
そう思ってしまうが、このくらい王室では当たり前なのであろう、きっと。
さすがに祝辞の予定も入らなくなり、会議の前に空き時間ができた俺は
早速ヨナファルドを呼び出す。
「御用ですか、陛下。」
「少し話がある。」
こうして俺は昨日オーセ神官から聞いたこと、そして観察した結果を話す。
「それは誤解があるようで。」
俺の話を聞き終わったヨナファルドはすぐさま反論を展開しだした。
「まず側近とはその字のごとくお側に仕えて陛下を助ける役職です。
確かに部下へ仕事を振ることが多かったかも知れませんが、
結果として陛下をお支えしていたのですから問題はないはず。
それと側近衆に命令することも私の役割です。」
「あとお菓子についてですが・・・あれは明日の分も含めて買っておいただけのこと。」
俺は反論できなかった。
確かにヨナファルドの言うことも尤もだ。
「・・・では一つだけ。今後は命令するばかりではなく、自ら進んで取り組んでほしい。」
「かしこまりました。誤解を招かれぬよう努めてまいります。」
結局、この時はこれで許してしまった。
だが、これが後々後悔することになるのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます