第8話 反論

 (もしかして俺って国王を楽しんでいるのか・・・?)


 寝起きでぼんやりとする脳内にふとこんなことが浮かぶ。


 (当然、大変なことだし両親にも会いたいけど、

いい刺激になっているのは確かだ。)


 そんなことを考えながら立ち上がり、正装に着替え始める俺。

ご丁寧なことに2人の男―雑用係が着替えの手伝いまでしてくれる。


 (確かに着慣れない服だからありがたいんだけど、

ここまでしてもらうのは・・・。)


 そう思ってしまうが、このくらい王室では当たり前なのであろう、きっと。


 さすがに祝辞の予定も入らなくなり、会議の前に空き時間ができた俺は

早速ヨナファルドを呼び出す。


 「御用ですか、陛下。」


 「少し話がある。」


 こうして俺は昨日オーセ神官から聞いたこと、そして観察した結果を話す。


 「それは誤解があるようで。」


 俺の話を聞き終わったヨナファルドはすぐさま反論を展開しだした。


 「まず側近とはその字のごとくお側に仕えて陛下を助ける役職です。

確かに部下へ仕事を振ることが多かったかも知れませんが、

結果として陛下をお支えしていたのですから問題はないはず。

それと側近衆に命令することも私の役割です。」

 「あとお菓子についてですが・・・あれは明日の分も含めて買っておいただけのこと。」


 俺は反論できなかった。

確かにヨナファルドの言うことも尤もだ。


 「・・・では一つだけ。今後は命令するばかりではなく、自ら進んで取り組んでほしい。」


 「かしこまりました。誤解を招かれぬよう努めてまいります。」


 結局、この時はこれで許してしまった。

だが、これが後々後悔することになるのである。

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