第3話 国王陛下

 「国王陛下、万歳!!」


 「国王陛下、万歳!!」


 神殿の中に歓喜の声が響き渡る。


 (何処かの国の王様が来日してこの中にいるのかな・・・?)


 俺は一瞬、こう考えたが少ししてあることに気づく。

この中で一番偉そうな席に座っているのは俺ではないか。


 「ま、まさか・・・。」


 俺がこう呟いたのを聞いて、横にいる法衣を纏った年配の男性が一言。


 「あなた様のことにございます、陛下。」


 「・・・!」


 俺はかなり怪しい所に来てしまったのか、それとも・・・


 「あの・・・。」


 「なんでしょうか、陛下。」


 「まさか、人違いをされているのでは・・・?」


 最後の望みをこの質問にかけたが、神官は首を横に振る。


 「陛下はこの神殿に祀られているアダメス神の神託により、

国王として選ばれたのです。」


 「・・・!」


 俺は戸惑いを隠せなかったが、謎の儀式が進んでいくうちに

やっと答えに行きつく。


 (そうか、これは異世界か夢のどちらかだ。)


 そして俺は自らの手で顔を引っ叩く。

・・・痛い。


 (とすると、まさかこれは異世界・・・!?)


 それを確かめるため、俺は神官に尋ねてみる。


 「この世界・・・いや、この星は何という星でしょうか。」


 もし、ここで地球という言葉が出てきたら異世界ではないと考えた。

異世界であれば、星の名前も違う可能性がある。


 「・・・ここは聖球という星ですが、まさか陛下の生まれは違う惑星で?」


 (やっぱりそうだ・・・!)


 俺は確信する。ここは異世界であると。


 ただ、問題なのは転生なのか転送なのかだ。

もし、転生なのなら地球に帰れない可能性が高い。

だが、転送なのであれば役割を果たすことで帰ることができる。


 「俺は元の世界に帰れるのか・・・?」


 この質問に神官は考え込んだ後、こう答える。


 「陛下が元の世界に帰りたいと申すのであれば、

その方法は神の期待に応えることでしょう。」


 俺は何かといって日本が好きだ。異世界で、しかも王様であっても

いたくはない。

 神の期待、つまり国王として成功を収める。

これしか帰る道はなさそうだ。

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