第6話 血の繋がり

照明を落とした白い部屋で白い手が俺の頬を包み自分の方へと向けてその柔らかな唇を押し当てるべく誘ってきた。

薄く柔らかな唇がねっとりと絡みついてあわせ舌を入れ吸うように絡めてくる。

杏菜は俺をベッドに押し倒すと俺の上に乗り両方の手で俺の頬を包みまた唇をあわせてきた。

身体が熱くなりなんともいえない気持ちが込み上げ杏菜が優しく愛撫する部分に血が集まるのを感じた。

今まで感じたことのない快感に気持ちが高揚し俺は気がつくと杏菜を逆に押し倒し無我夢中で彼女の脚を押し広げ足の付け根を大脚にそって撫で降ろしながら押し開き彼女の綺麗なピンク色のぷっくりしたそこを指で押し広げながら刺激した。

中から蜜のように溢れるトロリとしたものを指で絡めとりながら中へ解すように入れると彼女は仰け反って熱い吐息が漏れた。

柔らかな乳房を口の中でころがし優しく吸うと彼女の柔らかな乳房はプルンと震え我慢できないとでもいうように彼女は俺の熱くそそり立つものを自分の中に受け入れた。

俺はそのまま杏菜の中へ突くと杏菜は仰け反り喘ぎながら腰を動かしながらも両脚を俺の腰に絡め押しては引くその繰り返しが激しくなり俺の動きにあわせて彼女も腰を動かしはじめると俺の中の何かが波のように押し寄せ一気にその精を彼女の中に放った。

『いくっ!』

紅く高揚する肌が震え一緒に絶頂に達したところで俺は我にかえった。

『杏菜!ごめん…。』

彼女は頬を赤らめながら薄らと笑った。

はぁはぁと息が荒く整えるまで2人おなじベッドに横になりその白い肢体を合わせてお互いの心臓の鼓動を感じながら俺たちは眠りについた。


次の朝

杏菜は俺を残して消えた。

俺というといつものように顔を洗い歯を磨き出てきた服に着替えて朝食をもくもくと食べていた。

そこへなぜか省吾がやってきて、大きな封筒を渡してきた。

中には未来の世界には不釣り合いな紙の書類一式が入っており中身を確認するよう言うとその場を去った。

食事を終えて中身をさっそく見てみると中身は身分証明書と手続きの書類一式だった。

ようは裁定の結果俺はここから条件付きで出られるということらしいのだが、その条件というのが生涯未婚のままでいるということと女性との関係を絶対にもってはいけないという条件だったわけだが…。

『無理だよなぁ…』

なぜこんな無理な条件をつけてくるのかがわからないが既に一つは破られている。

すでに女性と関係をもってしまったことについてはどうしたらいいのか…。おれには皆目わからなかったが、杏菜のことについては後悔はしていない。

後悔するような気持ちでしたわけではないし

そんな気持ちでしたとしたら彼女に悪い、だからこの条件にのめというのならそれは無理というもの…。

いままで裁定にかかったのがなぜなのかはわからないが、時間がかかりすぎる。

その間にいろんなことがおきても仕方がないんじゃないか?

そしてもっとびっくりしたのが手術同意書が入っていたことだった。


「手術同意書」

「以下の去勢手術に369は同意し手術を受けるものとする。

何人たりともこの手術に反対の意を唱えることはできない、強制力をもったものとする。またこの同意書の効力は書類の確認未確認を問わず患者側に送付された日から7日間ののち執行されるものとする。」

5022年4月28日


去勢手術

患者名:369

手術日:5022年5月3日 AM10:00

執刀医:小野寺 純一郎


なんだこれ?もう一つの手紙には

「手術同意書にサインをしておいてください。明日取りに伺います。」

と書かれていた。

あいつそれでいいのかよ。

俺は書類を置くとベットに横たわり考えた。

ようは去勢手術をおこないおれは種なしにされてほっぽり出されるというわけか。

しかも否応なく・・・・。

未来にいるというだけでも悲しくなってくるのになんでここまでされないといけないのかわからなかった。

しかしなんとなくいらない人間扱いされているというのはよくわかった。

涼子のいない世界

そして人として存在してはいけない世界…。

そんな中で杏菜だけは慰めてくれた。

俺はこの世界で生きていく自信を無くし始めていた。


昼過ぎぐらいに執刀医と言われる小野寺先生が俺の部屋に入ってきた。

『369の去勢手術をする小野寺です。よろしくお願いします。』

『……。』

『手術同意書の書類を受け取りましたか?』

『……。』

『369?』

『……。』

『これは仕方のないことなんですよ。説明は受けていますか?』

『……。』

『同意書にサインをする前にカウンセリングが必要なようですね…。用意しますから必ずうけてください。今日の17時ごろでいいですか?』

『……。』

『予約しておきますね。後で伺いますので準備しておいてください。ではよろしくお願いします。』


小野寺先生は一方的にしゃべっていくと部屋を出ていった。

俺はベットで横たわった状態でまだ考えていた。

杏菜はある人に頼まれてきたと言っていた。

省吾だろうか?

だけどそんなこと女性に頼むようなやつかな?

じゃあだれ?

母さん?

まさか…ぼくがここにいるっていうことは知らないはず

じゃあだれが?

そんなことをぐるぐる考えていたらあっというまに17時のカウンセリングの時間がやってきた。

『カウンセリング室まで案内します。』

そういうと小野寺先生は俺を連れてカウンセリング室まで案内してくれた。

『カウンセリングは初めてですか?』

『はい』

『ではそこへ寝そべってください。リラックスして』

リクライニングな椅子に寝そべりリラックスする

『では369の今の状況を説明しますね』

『はい』

『368とカウンセラーの378との間に生まれたあなた369はこの前まで睡眠療法治療をおこなっていましたが、システムエラーが続いたため途中で終了し裁定をまっていました。裁定の結果あなたは条件をのむことでここから離れることが可能となりました。その条件というのが去勢手術をおこなうこと、生涯未婚であること、そして女性と関係を今後一切持ってはいけないということです。ここまでは理解していますか?』

『はい』

『では同意書にサインを…』

『まってください!この書類が来る前に女性と関係をもってしまっていたらどうすればいいんですか!』

『え?』

小野寺先生は一瞬にして顔面蒼白になった。

『女性と関係をもってしまったんですか?』

俺はなんと答えたらいいかわからず小野寺先生をじっとみた。

『裁定が決まるまで省吾さん以外の人の出入りは僕だけだったはず…。』

え?

どういうことだ?

杏菜は誰かに頼まれてきたと言っていた。

じゃあだれが?

小野寺先生は血相を変えて

『ここにいててください!すぐ戻ります!』というと勢いよくカウンセリング室を出ていった。

おれは…なにが起こっているのかわからずただ部屋で待つしかできなかった。

数分だろうか?

扉が開いて杏菜が入ってきた。

『竜馬みっけ!』

『杏菜!君どうやってここの扉をあけたの?』

『私は竜馬の世話係だから鍵をもってるの』

『だれに頼まれたの?』

『それはね後でわかるよ』

杏菜はにっこり微笑むと俺の腕をつかんでひっぱった。

『でよう!』

おれはカウンセリング室を出て杏菜のいうとおり一緒に行くとあきらかに先ほどの白い部屋とは違う方向へ歩いていることに気がついてつかんでいる腕をふりはらった。

『ちょっとまってよ!杏菜どこへいくの?』

杏菜は俺を見るとふっと笑い

『大丈夫!竜馬は心配しなくていいよ!私についてきて』といった。

杏菜は俺の腕をぐいぐい引っ張ってついに出口まできた。

『ちょっとここに入ってこれに着替えて!』

出口手前の倉庫のようなところに入ると杏菜はグレーっぽい服を俺に渡した。

おれは言われたとおりにグレーの服に着替えると着ていた白い服を杏菜に渡した。

杏菜はその白い服を大きなカートの中へ入れると自身もグレーの作業服っぽい服に着替えた。

『さていくよ!未来の世界へようこそ竜馬』

外へ出ると少し風が冷たかった。

杏菜は車っぽいものに俺を乗せると運転席にすわって運転しはじめた。

『竜馬のためにいろいろ準備していたんだ!竜馬は安心してね』

どうすることもできない俺にとって杏菜はあの状況から救ってくれた人だから安心するに決まっている。

そんなことわざわざいわなくてもいいのに…。とおれはその時はそう思った。

しかしこの未来の世界については人と人とのつながりについて、そう生易しいものではないことをこの先いやというほど思いしるわけだがこのときは杏菜を信じるしか他になかった。

どのぐらい乗っていただろうか

杏菜が『もう大丈夫だよ』といってくれた。

顔をあげるとそこはとある高速道路の上を走っていた。

『もうすぐでつくからね』

ふと富士山らしき山が見えるが果たしてあれが富士山なのか・・・。

すっかり様変わりしていた。

富士山らしき山のふもとのログハウスっぽいところに車がとまった。

『ここが新しい竜馬の家だよ』

杏菜はそういうとにっこり微笑んだ。

車の扉をあけ唖然としている俺の腕をひっぱりログハウスの中へ入るよう促された。

『杏菜大丈夫?』

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