第11話 . まるでメルヘン~「きらきらひかる」

「モアザンワーズ」の作者は「きらきらひかる」という小説、または映画を知っているに違いないと想像します。江國香織の小説は1991年の作品、映画化は翌年。もう30年もたつんですね。


 アルコール依存症気味の妻とゲイの夫、夫の恋人。夫婦は結婚前に互いの秘密を告白しあい、それでも、とゴールイン。夫は恋人との関係を続けるし、ゲイでありながら見合い、結婚したことを父に責められたり。「それでいいのか」と父親、印象的な場面でした。

 妻はやがて三人の子供を産みたいと、二人の精液を混ぜて妊娠したいと!

「モアザンワーズ」に比べたら、なんかメルヘンチックに思えます、こちらは大人で結婚してるし、子供が生まれても関係が崩壊、はないかもしれませんが。


 夫を演じた豊岡悦司、恋人の大学生、筒井道隆。今や大御所ですが、ふたりは本作ではじめてキスシーンを演じたそうです。

 いや、ひどかったです、キスというより唇をぶつけあう感じ、「これは仕事なんだ、仕方なくやってるんだよ」感が丸わかり。

 監督もキスシーンの撮影はお初だったそうで。後に「男三人、全員不幸だった」と語っています。


「モアザンワーズ」でもう一つ思い出したのは1954年の映画「裸足の伯爵夫人」です。

 貧しくも美しい娘が貴族に見初められ結婚、しかし夫は子供を作れない体。無邪気な妻は、子供ができたら夫が喜ぶだろうと、好きでもない男と関係し、妊娠。夫に射殺されてしまいます。

 なんという愚かさ、この話を知った中学生の私も唖然としました。

 考えなしというか、あまりにもおバカさんで、あのドラマの三人を思い出してしまったのでした。

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「あの人(♂)は私(♂)を捨てた!」。ある映画の思い出 チェシャ猫亭 @bianco3

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