第8話 ムーンライト~マッチョの純情
アカデミー作品賞受賞、とのことで、内容を全く知らずに見に行った。
アフリカ系少年シャロンの話。
子供時代。母子家庭で貧しく、気の弱そうなシャロンは、いじめにあっている。
「オカマってなに?」
母に尋ねるシャロン。
ただ一人の友人ケヴィンの存在にほっとする。
高校時代。
シャロンは、相変わらず悪ガキどもに、なよなよしてる、と苛められる。ケヴィンとの友情は続いていて、ほっとする。
夜の海岸で、二人は思いを確かめ合う。指で触れあうだけの行為だが、シャロンは幸せだった、はずだ。
ところが翌日、事件が起こる。
こんなむごい場面は、見たことがない。
書いてしまおうかと思ったが、やはりつらい。
ぜひ、ご覧になってショックを受けてください。
私だって、シャロンと同じことをしたかもしれない。何よりも大切なものを、めちゃくちゃにされたのだ。たとえ、人生が閉ざされても、シャロンは、やらずにはいられなかったのだ。
第三部。
見違えるほどに肉体を鍛え、筋肉の鎧に身を固めたシャロン。
高校時代の悪ガキどもは、今のシャロンを見たら逃げだすだろう、それほどの迫力。
ケヴィンは、しょぼいダイナーの店主として働いている。バツイチらしい。久々に会ったシャロンに軽い気持ちで尋ねる。
お前の方は?
シャロンの答えは、驚くべきものであった。
これも、ぜひご自分で確かめてほしい。
マッチョになった彼だが、中身は、シャイで純情なシャロンのままだった、ということ。
時間がたってからの方が染みる映画だった。
【以下、ネタバレです。見られそうにない方はどうぞ】
高校時代のむごい話とは。
悪ガキどもが、ボクシングが得意なケヴィンにけしかけるのです、シャロンを殴れと。
前夜、月の浜辺で思いを確かめ合ったばかりの恋人を殴るように命令される、拒否したらケヴィンもどうなるか、本当に見ていられなかった。力いっぱい殴られ、血に倒れるシャロン。
シャロンは、いじめのリーダーを椅子で殴って逮捕されます。少年院送りかな。そうせずにはいられなかった気持ちはわかる。
再会したシャロンにケヴィンが尋ねたのは、セックスとか恋人とか、の話でしょう。
シャロンは答えます。高校時代の、おまえとの、あれだけだと。
ケヴィンは驚き、その後、新しい関係が始まるのか。
なんとも言えない結末でした。
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