第22話

彼女の誕生日から、彼女は一言も口を交わしてはくれなくなった。

たった1日で、かけがえのない思い出がどんどん消えていくのに、俺に抱いた嫌悪感と、恨みは2週間経っても忘れてはくれないのか…


俺はもう、琴音のことをどう思っていいのか分からなくなっていた。


別れてしまうのだろうか………

というか、あれだけ俺を避けておいて、まだ、別れようと言ってこないのはなぜだろう……


俺と付き合ってること、忘れたのかな……


ーーーーーーーーーーーーーーーー


私どうしたらいいんだろう……

あの日、酷いこと言って、プレゼントも台無しにして………

私ももうわかってる。最近、自分が前よりもおかしなことを言ってるんだって……

それで、彼を困らせてしまってるんだって……

でも、なんて話していいかわからないの……それで、無視しちゃう……


嫌われたかな……絶対そうだよね。

彼のためにも、もう私とは関わらない方がいいのかもしれない………


2人の思い出を作っても、私はすぐに忘れちゃう。

勘違いだってしちゃうし、好きなものだって変わってきてる………

こんな私と一緒にいたら、かわいそうだよ………

だから、もう……………


私は、その日から何を話していいかわからなくなった……

そして、2週間が過ぎたころ、彼は熱を出して、学校に来ていなかった。

気にしないよう自分に言い聞かせていたが、みなみちゃんには私の本心を見抜かれていた。

「気になってんじゃないの?

………………

好きって気持ちは忘れてないんでしょ」


…………!

そうだよ、私はたくさんのことを忘れちゃったけど、彼への気持ちは、一度もなくならなかった。

やっぱり、言わなきゃ。

私の気持ち………


「行ってやりなよ」

「え?」

「お・見・舞・い、彼の家に」

「でも…………」

「家ならわかるよ」

「え?なんでみなみちゃんが知ってるの?」

「あのバカが教えてくれた」

そういうと北野みなみは後ろに親指をやった。

指の先では田中快斗が笑顔で手をふっている。

「どうも〜」


「ね、行ってやりなよ。」

「………………………うん!」


そうだよ言わなきゃ


それに、何か思い出しそうなの……

こんなこと前にも………


とにかく、この気持ちだけは、決して忘れないんだから!

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