第16話

なんでだよ!なんで、俺じゃなくてあいつがあのストラップをつけてんだよ!

2つ買ったのか?いや、あれは恋人同士がつけるやつだし、そもそも会計のとき、琴音は1つしか持ってなかった。

どういうことだ?

とりあえず、本人に聞いて見ないと

「琴音……それ…………」

俺はストラップを指さした。

「ん?あ〜これ?可愛いでしょ!

修学旅行でお土産に買ったんだ!

2つ入ってたから、みなみちゃんに片方あげたの。おそろいだよ!」


これは2人で買おうと決めたやつだ。

なぜ俺が知らないという前提で話している?なぜ北野みなみに片方を渡している?

お揃いなのは当たり前だ。俺が揃えたくて選んだからだ。

なんで?なんで?

なんでなんでなんでなんでなんで!


俺は感情が抑えきれなくなっていた


「琴音!な……」

「おい!!」

叫びはじめていた俺を、正気に戻したのは、いつのまにかドアの前にいた平松のひと声だった。


俯くしかなかった……


「ごめん…………」

俺は自分の席に戻った。


それから放課後になるまで琴音とは一度も話さなかった。


放課後………

「今日、朝から機嫌悪いよね。

私……なんかしちゃったかな……?

もしそうだったらごめんね………」


あぁそうだよ。お前が悪いんだよ…


こいつに悪気がないのはわかってるよ。でも……でも……………

こんなのあんまりだよ……


「なぁ、本当に覚えてねぇのかよ…」

「何を……?」

「ストラップだよ……

あれは2人で選んで買ったんだよ…」


「え?そうだったの!ごめんね…」


その時俺は……彼女のことを許してあげられなかった。

たかがストラップ1つだとしても、こんなにもあっさり忘れられるなんて………


「………………………」

俺は何も言わずに教室を出て行った。


その時の行動を、俺は後になって後悔することになる

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