第15話

修学旅行最後の夜

俺はロビーのソファーで1人座っていた。


すると、平松が俺の隣に座った。


「お前さ、昨日のことで悩んでんだろ」

「………………………」

「お前がすぐに覚悟できる男じゃないことは俺が1番よく知ってるんだよ。


まぁ、いいんじゃねぇの?こういうことも経験しといた方が。


好きとかいうのは、覚悟できねぇからってなくなりはしねぇんだから。」


「お前……誰だよ」

「人間だよ」

「………………………はぁ」

今さっきまでのあいつの目は、今まで見たことない目だった。


「お前なぁ、俺だって惚れた女の1人や2人いるんだぜ。お前なんかより断然経験が多いんだよ。」

最後はいつもの平松に戻っていた。

俺たちは、いつも通りになった。


そして朝、新幹線で埼玉まで帰ってきた。


次の日

俺は学校に登校し、教室に入った。

授業の準備をしていると、三浦琴音と北野みなみも教室に入ってきた。


今日は…………俺から声をかけよう!


そして、三浦のところに歩いて行き、

「お、おはよう」

と、なんだか恥ずかしくなってしまい、彼女のカバンを見てしまった。

すると何かが揺れたことに気がついた。

そこにはあったのは……


ストラップだ!


琴音、早速つけてるんだ。

俺も早くつけたい。

そう思っていると、後ろにいる北野みなみのカバンも目に入った。

するとこちらも何か揺れたのに気づいた。

俺はそこにあったものが何かわからなかった。

いや、"何"かはわかっていた。

"何故"なのかがわからなかったのだ。

俺はもう一度よく見た。

やはり変わらない。


そこにあったのは………


琴音のつけていたストラップの片方だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る