第11話

またまた始業式。

相変わらずクソ長い校長の話を聞き終わり、それぞれの教室へ行く。

花火大会以来RINEで話はするものの、実際に会ってはいなかったので、久しぶりに琴音を見ると、やっぱり可愛かった。

髪切ったからかな………

2ミリくらい!(俺は目がいい)

それを言い当てたら、なんでわかったのって若干引かれた。


「引かれるより惹かれたいな〜」


なんて言ったらさらに引かれた!

さすがにこれ以上言うと、とどめを差しかねないので、黙っていたが、その後、俺は琴音に日記帳を渡した。

その日記は、琴音が忘れたことを思い出せるようにと、俺が買ったものだ(500円くらいした。)

俺はまた日直だったので、2人で少し残り、

「琴音の持ってるやつ病気ってさ……

記憶が無くなっちゃう系のやつだよな?」

と聞いてみた。

三浦琴音は少し黙っていたが、

「うん、そうお医者さんにはそう言われた。」

と小さく頷いた。

「俺さ、この日記を毎日書けば、昔のことでも思い出せるようになると思ったんだ。そういうの迷惑だったらごめん………でも、琴音のために、何かできないかなって。」

彼女は少し笑顔を含んで

「迷惑じゃ無いよ、使うね。」

とだけ言ってから

「じゃ、帰ろっか」

と、割とあっさりしていた。


少しでも彼女の役に立てれたらいいけど………


俺はなんとなく胸に引っかかったものを感じながら、彼女の後を追った。

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