第8話

終業式。

告白に気づいたのが昨日でよかった。今気づいていたら夏休み明けまで会えないもんな(家は知ってるけど)

そして、問題はいつ言うかだ。

そんな都合よく2人きりの状況にはならないからどこかで呼び出さないといけないが、幸い今日は日直だ。

俺はみんなより数分遅くまで教室に残る。だから、どこかのタイミングで三浦を誘わなければ………

ということで、登校してからずっと見てるけど、あの三浦に常にくっついている北野みなみが邪魔だ。

(てか、北の南って誰がつけたんだよ)

仕方ない。終礼が終わったら声かけるか。


「三浦!ちょっと残ってくれ」

「え?」

「あの…この前の返事…するから」

「この前の返事?」

「あの本のやつ、手紙の!」

「え、なんのこと?」

なんで伝わらねぇんだよ!周りの女子に聞かれたくねぇのか……?

「とりあえず、ちょっと残ってくれ」

「う、うん、わかった」


日直の仕事を片付けて三浦の元へ行く。2人きりになったのに未だによくわからないという表情をしている。

「えっと、貸した本に挟まってた手紙のことなんだけど……」

「え?何のこと?わからないよ」

ダメだ、覚えてないのか?

うーん…………そうだ!

「夏休みさ、花火大会があるんだ。一緒に行かないか?」

「うん、いいよ!いこいこ」


………………

彼女は…………覚えていなかった。

それでも、俺のことを嫌っていたわけではなかった。

よかった……よかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る