第4話
私はみなみちゃんと別れたあと、自宅へ向かって歩いていた。
さっきみなみちゃんに、「最近元気なくない」と言われたのは本当は当たっていて、最近風邪っぽくて少ししんどかった。そして、今日は歩いて学校へ行ったのもあってかなり疲労が溜まっている。早く帰って、すぐに寝たい。そう思うと少し歩くスピードが早くなった。
すると前にある左の曲がり角から栗田高生の男子がでてきた。向こうはケータイをみていてこちらに気づいていない。よく見てみると同じクラスの男子だ。
そして、私と彼がすれ違ったとき、何かが落ちた音がした。振り返って下を見てみると、本が落ちていた。
彼を見てみるとイヤホンをしていて本を落としたことに気づいていないらしい。
彼に持っていってあげとようと歩こうとしたとき、体制が崩れ膝をついてしまった。熱がひどくなってるらしい。
彼になんとか追いついた頃には駅の前だった。イヤホンしているので彼の肩を叩いてみると……
「うわぁぁぁあぁぁあ!!」
いきなり叫ばれた。
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やってしまった!
べ、別に怖がっていたわけじゃないが、こうもタイミングが悪いと叫んでしまうのは仕方ないことだ!
そういえば、叫ぶのに夢中で誰が肩をたたいたのか見ていなかった。
そう思って「あ、すみません。」と言いながら前を見ると……
そこには、同じクラスの三浦琴音の姿があった。
俺に一体なんのようなのか、というか今の俺の反応バカにしてないか?
色々思うところはあるが、俺がなんて言うか考えている間に、彼女の方から何かを差し出して来た。
「あの……これ…………」
そういって彼女が見せて来たのは、俺がさっき買った小説だった。
「え、それ……………………本当だカバンにない」
カバンを探してみるがやっぱり小説はなくて、落としてしまったのを三浦琴音がひろってくれたらしい。
「ありがとう。」
他になんといっていいかもわからずに、ただそれだけ言って
「うん。」
彼女もそれだけ返して、俺たちはそれぞれ帰ろうとした。
俺が駅に歩き始めたとき……
バタンッ!という音が後ろでした。
とっさに振り返ると、三浦琴音が倒れていた。
「お、おい、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ。」
もちろん彼女が大丈夫でないのは、一目瞭然だった。
「どうしたんだよ!なんかあったのか?」
俺は、自分でも信じられないほど慌てていた
「ん、ちょっと熱があるだけだよ。」
「ちょっとじゃないだろ!」
俺は彼女の額に手を当てた。
もちろん俺は女子のそんなところ触ったこともないし、何か言われるんじゃないかと不安もあったが、今そんなことは言ってられない気がした。
どうにでもなれと思ってやったが、その時の彼女は熱すぎた。どう考えてもちょっとの熱ではなかったんだ。
「歩けるか?」
この熱だと、きっと歩くこともしんどいだろう………
ん、聞いてどうする?
もし、歩けなかったら俺が支えるのか?どうやって……?
お姫様抱っことかか?
いや、バカか、少女漫画じゃねえんだよ。………じゃあおんぶ?
だからバカか俺は!
そうだ、腕を肩に回して一緒に帰ろう。
「1人で帰るから、もう大丈夫だよ」
「倒れたやつ1人で帰せるかよ。腕貸して。」
彼女は抵抗しなかった。
「家この辺か?」
「うん」
琴音は1時間半かけて家まで送ってもらった。
その間、熱のせいか鼓動がいつもよりすっごく早かった…………
………気がする
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