第27話 再挑戦②

 目の前にはヌルヌルまみれになったダンガンラビット達。スタミナ切れで動こうとはしないから、安全と判断してヌルヌルを解除する。


「【ヌルヌル】解除ッ」

 

 目の前のヌルヌルはシュゥゥと音を立てたと思うとすぐに消えた。


「さーーてと、六匹もいるから……半分は俺、もう半分は猪貝がとどめを刺す用でいいかな」


 猪貝に三匹を渡してから、残りの三匹にとどめを刺す。

 ダンガンラビットの体に短剣を突き刺すと、「ギェェェェ」という気味の悪い断末魔をあげてから息絶えた。そして絶命してすぐにダンガンラビットの体が光り始め、例の如くステボをドロップする。


「よーーし、ステボを消費っと、そしてステータスオープン」


―――――――――――――――――――――――

ステータス


田中秀明

レベル    : 1

HP     : 315/315 

MP     : 125/125

SP     : 0

スピード   : 340

攻撃力    : 295

防御力    : 295

ラック    : 12


―――――――――――――――――――――――


――――――――――――

固有スキル

【ドロップ】

所有スキル

【分裂】Lv.100、【ヌルヌル】Lv.7、【風魔法】Lv.2、【岩魔法】Lv.3、【跳躍強化】Lv.1

――――――――――――


「と、言うことは……ダンガンラビットのステータスはこうなってるのか?」


 おれはメモ帳を取り出すと、自分のステータスの増減からダンガンラビットのステータスを導き出し、メモを取る。


――――――――――――


ダンガンラビット


HP     : 5/5

MP     : 5/5

SP     : 0

スピード   : 20

攻撃力    : 5

防御力    : 5

ラック    : 0


―――――――――――



「うっし。こっちは終わった。猪貝のほうはどうなった?」

 猪貝のほうに向かうと、そちらでも同様に事を終えていたようで、猪貝の手にはおそらくダンガンラビットから採取したであろうアイテムが握られていた。


「こっちも終わったわ。これ、とったアイテム」

 猪貝は手を前に出し、アイテムを見せてくる。


「どれどれ……、ってうおぉぉぉ」

 猪貝の手に握られてたのはダンガンラビットの肉と毛皮。肉の見た目は鶏肉みたいで別に驚く要素はなんもないはずなのだが、いきなり見せられたことで驚いてしまった。


 毛皮のほうはこんな環境下でも生きているわけだから耐熱性、もしくは遮熱性に優れているため、いろいろなものに使えそうだし、売れそうだ。


「でも、この肉、持って帰るには時間がかかってダメになっちゃうなぁ」

 本当は、こういった保存が難しいアイテムを持ち運べるアイテムがあるらしくそれを使えればよかった。だが、それはここよりも難しいダンジョンの報酬でしか手に入らないらしい。もちろんお金で買うこともできるのだが、さすがに手が届くような値段じゃないのであきらめた。


「だったらここで食べて行けばいいんじゃない?」

「ここで? どうやって?」

「短剣と鍋、それと蓋があればいいかな」

「短剣は持ってるけど……、他のものはないからどーーすんの?」

「ないなら作ればいいじゃん」


 えぇぇ。無茶いうなよ。そんなもんどうやってつくんだよ。

 某アントワネットさん(諸説あり)みたいなこと言いやがって。


「で、どうやって作るんだよ?」

「岩魔法で岩を変形させて作ればいいじゃん。できないことはないでしょ」

「猪貝、お前天才か……?」

 俺に褒められてまんざらでもない様子の猪貝。


 俺は言われたとおりに、程よい大きさの岩を見繕って岩魔法をかけて変形させる。前に作ったお地蔵さんと比較しても作りやすい形だったので、微妙に形は崩れているもののちゃんと使えそうだ。


「でも、火はどうすんの? 俺、炎魔法は使えないよ?」

「それなら心配しないで。このダンジョンならではの調理方法があるから」



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