第1章01

一年後…

青く澄み渡った空を、一隻のアンバー色の航空船が、ゆっくりと飛んでいる。

朝8時半。採掘船アンバーに護の声が響き渡る「穣さーん!」

ダダダッと階段を駆け上がって来た護、「時間ですよ穣さん!」と叫びつつ廊下を走り、船室のドアをバンと開けて「穣さ…!」と叫びかけるが、船室には誰も居ない。

護(…あいつ、どこ行ったんだよ!もう…。これ以上探すと作業開始時間が遅れる、採掘準備室へ行かねば!)

通路を走り戻って階段を降り、採掘準備室へ行くと「あっ!」と声を上げる。そこには既にメンバーと共に、穣がいた。

護「穣さん!どこ行ってたんですか!」

穣「トイレ」

護「トイレ見たけど居ませんでした!」

穣「すれ違ったんだろ」

護「時間厳守して下さい!余裕もった行動を」

穣「…突然のトイレは仕方ねぇだろ!」と叫ぶ

護、穣を無視して「とにかく全員、作業前確認!浮き石とバリア石は着けてるか!特に浮き石を忘れると船から飛び降りた時に激突死するぞ!」

全員「はーい」

穣「あ、バリア石つけるの忘れた」

護「また?!」と穣を見る

穣「だって俺、バリアラーだし。自分でバリア出来るし」

護「ダメです!規則には従って下さい!」

穣「ああもうウゼェな。とっとと仕事しようや!採掘口を開けるべ」と壁際の開閉レバーがある方へ歩いていく

護「採掘監督は俺です!」

穣「前は俺が採掘監督だったんだけどなー!」

護「貴方が失敗するから俺が採掘監督にさせられたんです!」

穣「え。…嫌だったん?」

護「えっ、嫌じゃない。嫌じゃないけど」

穣「嫌なら辞めちまえ」

護「とんでもない!長兄の期待を裏切るなんて」

穣「クソッタレの満の期待なんざ」

護「長兄に対してそんな言い方!」

穣「仕事しようや!黒船に勝たなきゃならねぇんだろ?」

護「そ、そうだ。採掘量第一位の黒船に勝って、汚名挽回しないと!」

穣「すんませんね俺がアンバーを汚しちまって」

そんな二人を溜息つきながら見ている採掘メンバー達

マゼンタ(またこれだよ…。)

悠斗(毎朝毎朝、勘弁してほしいよな…)


『採掘口開放』という船内放送と共に、アンバーの船底の採掘口が開くと、下に大地の裂け目のような崖に挟まれた谷間が見える。その切り立った崖の壁に所々イェソド鉱石が生えているのが見える。

穣、「行っきまーす!」と叫ぶと同時にスコップ片手にバッと船から飛び降りる。

護「また勝手に…!」と言うと、他のメンバー達に「準備はいいか!」

悠斗、コンテナを担いで「はーい」

護「行こう!」と自分もコンテナを担いで船から飛び降りつつ(…今日はどれだけ採れるか…!)


護達が下に降りると、先に降りた穣がオリオンに「とっとと始めようぜ、オリオン、爆破頼むわ!」と声をかける

オリオン、護を見て「爆破、いいですか?」

護「いいよ」と不機嫌そうに呟き、透に「風使い、爆風飛ばして!」

すると穣が「俺もバリアするからよー」

透「うん。じゃあオリオン君、どうぞ」

穣がバリアする中でオリオンは崖の鉱石に爆破をかけ、舞い上がる粉塵を、透がメンバーのいない方へと風で流す。

崩れた鉱石をスコップ等で採ってコンテナに詰め始める一同。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る