No.53:クリスマスパーティー


 翌日の大学の学食。


「おーいいねー。やろうやろう、クリスマスパーティー」


 綾音の提案に、誠治が乗り気だ。


 昨日の美女3人による会食で、みんなでクリスマスパーティーでもやりませんかという話になったらしい。

 当然誠治は、ヤル気満々だ。

 俺もやるなら、是非参加したい。

 問題はいつ、どこでやるかだ。


 この時期、オステリア・ヴィチーノはもの凄く混雑する。

 主にカップルで。

 従って24日と25日は、シフトから外れることができない。


「明日菜ちゃんとエリちゃんは、学校が21日が最終らしいの。だから21か22日でどうかな」


 21日も22日も平日だ。

 21日は、俺も誠治もシフトが入っていなかった。


「じゃあ21日でどうだ? 俺も誠治もシフト入ってないし」


「わりぃ、オレその日は家の用事があんだわ。だから無理。22日にしよう。詩織さんにシフト外してもらうように交渉するわ」


「綾音はそれでいいか?」


「うん、大丈夫。もともと予定ないしね」


 これでやる日は決まった。

 あとは場所だな。


「誰かの家でやるのであれば、俺のアパートが中間地点だな。でもちょっと狭いぞ」


「ヴィチーノは個室がないしな」


「カラオケルームを使うのもアリだよ。今は持ち込み可能のところが多いし」


 いろいろと検討した結果、綾音の案を採用した。

 カラオケルームにはドリンクバーがあるので、飲み物の心配をしなくてもいいことが大きい。

 誠治が吉祥寺のカラオケルームを探してくれることになった。


「あとね、この間話してたんだけど……ベタだけど、プレゼント交換とかどうかな」


 なるほど、たしかにベタだけど楽しそうだ。

 綾音は早速Limeグループを作成して、詳細を詰め始めた。


        ◆◆◆


「クリスマスパーティーが、もの凄く楽しみになってきました!」


 日曜日のお昼時間。

 俺の目の前で、明日菜ちゃんはお好み焼きを頬張りながら上機嫌だ。


「ああ、俺も楽しみだよ」


「それに、プレゼントは瑛太さんにです。楽しみにしてて下さいね」


 どうやらこれも上機嫌の原因のようだ。


 女性陣から提案があったプレゼント交換。

 一人2千円前後と金額を決めたのだが、あらかじめ誰に贈るのかも決めておくことにした。

 その方がプレゼントを買いやすい。


 誰が誰に贈るかは、くじ引きにした。

 面白いことに、あみだくじをネット上で作れるサイトがある。

 これで全員がくじをひいたところ、次のようになった。


 明日菜ちゃんは俺に。

 俺は綾音に。

 綾音はエリちゃんに。

 エリちゃんは誠治に。

 誠治は明日菜ちゃんに。


 あみだくじは全員に公開されるので、誰が誰に贈るかは全員分かっている。


「2千円っていうのが、微妙な金額だな」


「確かにそうかもですね」


 ちなみに何が欲しいかを本人に聞くのは禁止にした。

 それだと楽しみが半減する。


「綾音にかぁ……何がいいんだろ」


「下着とか送っちゃ、ダメですよ」


「セクハラでしょ、それ」


「でも私は、瑛太さんからだったら欲しいです」


「エッチなやつでも?」


「なっ……も、もう……最近の瑛太さんは意地悪です」


「はは、ごめんごめん」


「そんなことされたら、それを身に着けて迫っちゃいますよ」


「うーん、それに抗える自信はないよ」


「……やっぱり瑛太さん、意地悪です」


 頬を赤らめて話す明日菜ちゃん。

 やっぱりこの子、可愛いな……。

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