No.41:明日菜ちゃん宅


 日曜日のお昼時間、俺は歩いて明日菜ちゃんの家に向かった。

 アパートから20分ほど歩くと、3階建ての立派な家の前に着く。

 

 するとドアが開き、明日菜ちゃんが出てきてくれた。

 門扉を開いて俺を出迎えてくれた。


「こんにちは、瑛太さん。お待ちしてました」


 淡いパープルのプリーツミニスカートの下から、今日も生足が輝いていた。

 紺色のタイト目のブラウスは、体のラインが綺麗に見える。

 とにかくウエストが細いので、胸のふくらみも強調される。

 なんだか、いつも以上に眩しかった。 


「こんにちは、明日菜ちゃん」


「どうぞ、入って下さい」


 門扉を抜けて、玄関に入る。

 ちょうどそこに、階段の上から足音が聞こえてきた。


「こんにちはー」


 元気な声で挨拶をされた方を見ると、可愛らしい女の子がニコニコと笑っていた。


「妹の小春です。よろしくお願いします」


「はじめまして、仲代瑛太です。小春ちゃん、よろしくね」


 身長は150センチぐらいだろうか。

 顔の輪郭は明日菜ちゃんに似ているが、クリっとした目元はお姉さんと少し違う印象を受ける。

 美人というより、可愛らしさを全面に感じる印象だ。

 もちろんお姉さん同様、かなりの美少女である。


「もうお姉ちゃんたら、随分前から2階の窓からずっと外を見てたんですよ。まだ来ないかなーって」


「ちょっと、小春!」


 どうやらお待たせしてしまったらしい。


「それは悪かったね。まあ時間通りに行けばいいかと思ってね」


「そうです! もちろんそうですよ!」

 明日菜ちゃんは顔を赤らめ、そう答えた。


 玄関から3人揃って、階段を上っていく。

 2階がリビングダイニングになっていたのだが、とにかく広い。

 20畳ぐらいあるだろうか、全面フローリングの素敵な空間だ。

 リビングには革張りのソファと、大画面の液晶テレビが置かれている。

 奥の方がアイランドキッチンになっていて、その横に4人がけのダイニングテーブルがある。

 置かれている調度品や家具も、大衆的な家具屋で販売されているものと違い、一目で高級品であることがわかる。


「こんにちは。お待ちしてました」


 すると笑顔の女性が、奥のキッチンから現れた。


「母親の晴香です。いつも明日菜がお世話になってるみたいで、ありがとう」


 明日菜ちゃんのお母さん、晴香さんは身長は明日菜ちゃんと同じぐらいだが、顔立ちが少し違った。

 むしろ妹の小春ちゃんとそっくりで、クリっとした大きな目元がチャームポイントの美人さんだ。

 本当に美人・美少女一家って、存在するんだな……。


「はじめまして、仲代瑛太といいます。こちらこそ明日菜ちゃんにいつも差し入れを持って来てもらって、すごく助かってます」


「そうなの。この子いつも張り切っちゃってね。前日に『明日は何を持っていこうかな』とか言ってるのよ」


「もうお母さん! 恥ずかしいから、あっち行ってて!」


「はいはい」


 俺はキッチンの方へ戻ろうとする晴香さんを呼び止めた。

 そして手にしていたビニールの袋を差し出した。


「あのー、これ、実家から送ってきた野菜なんですけど、一人じゃ食べきれないので貰っていただけませんか?」


「え? いいの?」


「はい、一人だとたまに腐らせてしまうんです。それに一応低農薬野菜なので、安心して食べていただけると思います」


「えー、嬉しい! そんなのこの辺じゃ手に入らないからね。ありがたく頂くね」


 袋の中身は、じゃがいも、人参、玉ねぎの根菜類ばかりだ。

 ある程度は日持ちするし、味もいい。

 主婦なら貰って嬉しいだろう。

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