No.02:大学の学食にて


「へぇー、そんな古典的なことをやる奴がまだいるんだな。昭和か? 平成ですらねぇ」


「本当だよね。でもその女の子かわいそうだなぁ。ウチなら倍返しでとっちめてやるんだけど」


「まあレジのお姉さんが綾音だったら、あのヤンキーも言ってこなかっただろうな」


「ちょっと! それどういう意味?」


 ここは都内にある、私立明青めいせい大学内の学食。

 お昼時間に俺はこの学食のあまり美味しくないカレーを食べた後、同じ法学部1年の友人2人と昨日コンビニであった話をしているところだ。


 新藤誠治しんどう せいじ

 俺の数少ない、学内の友人だ。

 180センチの筋肉質で、茶髪のイケメン。

 見た目も中身もそのままチャラいが、とにかくよく気が利く。

 特に女の子には。

 従って当然女の子にモテる。

 キャンパス内を一緒に歩いていても、あちこちから女性の黄色い声が掛かるのだ。

 また誠治は俺と同じレストランでバイトしていて、シフトもよくカブる。

 

 もう一人の友人が、黒川綾音くろかわ あやね

 身長は160センチくらい?

 茶髪のミドルストレート、やさしい顔立ちの女子だ。

 見た目に反し、歯に衣着せぬ物言いで快活な性格。

 気を使わなくていいので、俺としてはとても楽だ。

 

 ただし……胸に大きな武器を持っている女子でもある。

 以前誠治が「綾音ってGカップぐらい?」と聞いて、「な、なんでわかった?」って言っていたっけ……。

 それを当てられる誠治のムダな能力も凄いが。

 

 北海道出身の綾音は色白で可愛く、誰に対しても別け隔てなく優しい。

 しかも巨乳とくれば当然ファンの男も多い。

 綾音も今は彼氏がいないようだが、誠治同様にモテモテなのだ。


「で、瑛太。その店員の女の子、可愛かったのか?」


「ん? ああ。それがめっちゃくちゃ可愛い子だったんだよ」


 そう答える俺は、仲代瑛太なかだい えいた

 長野県の田舎街出身で、今は一人暮らし。

 175センチの中肉中背で、特にスポーツもやっていない。

 あまり特徴のない、RPGならモブキャラだ。


「へぇー、瑛太がそう言うのって珍しいね。ああ、じゃあそのヤンキー本当はその子のLime IDが知りたかったんじゃないかな?」

 綾音はそう言った。


「なんでそう思う?」


「多分IDをゲットして、脅していかがわしい写真か何かを送らせようとしたとか?」


「うわぁ、それメッチャ悪質だな。オレならもっとスマートに聞いてデートに誘って、それからゆっくりとだな……」


「それはイケメンの誠治だからできることだろ?」

 俺は誠治にツッコむ。


「ウチだったら誠治に聞かれても絶対に教えないけどなぁ。こんなチャラそうなの、絶対危なそうじゃん」


「綾音、それちょっとヒドイんじゃね?」

 綾音の正直な意見に、誠治は少し凹んでいた。

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