第14.5話 変わる予兆
――――――――――
(渚視点)
「・・・○~○~○~さぁ~~ん???!?」
テレビで放送できない個人名を防ぐための音が、コメントと同時に流れる。なので、このリポーターの芸能人がなんて言ったか、普通はわからないだろう。
・・でも私には、ほぼ100%の確率で誰だかわかってしまった。
「・・・瀬崎さん?」
私は、バラエティ番組というよりテレビ自体あまり観る方じゃない。ただ、母は時折観るようで、つけていたTV番組を一緒に眺めていた。たまたま「皆瀬さん」が出ていたので、ついついずっと観てるとこの場面に出くわした次第。
「あら、渚。この方知っているの?」
「あ、うん。多分知っている人だと思う」
(いや、間違いなく瀬崎さんだろうなぁ)
絶対ではないが、確信している。理由は・・・言わせないで。
「はー。彼はこんなこともやっていたのか」
父が会話に加わってくる。・・でも、この物言いからして、
「・・・聞いてた?」
「何の事だい?」
わざとらしく白を切られる。これだから、やり手社長と言うのは。
「ところで、全然関係ない話になるけど」
うん?
「今度うちの会社で、ちょっと大きめの「eスポーツ」大会を企画しているんだ。」
「eスポーツ」。いわゆるゲームの腕を競う大会だけど、名前の通りプロもいるようなスポーツ団体の様相を呈している。近年、その規模は拡大しつつあるのは、一般知識程度だが私も知っている。
「・・・なんで、今言うの?」
「仕事人間ならではの、家族とのコミュニケーションじゃないか」
それは嘘ではないだろう。父はそういう人だ。・・つまりは、
「パパ。・・・いえ、陣内社長。eスポーツに特に詳しい訳ではない女子高生ですが、なにかお手伝いはできますでしょうか?」
「歓迎ですよ。あ、でも、「ただの女子高生じゃない」以上、何か考えなきゃなぁ」
「・・この、たぬき親父」
何ともアットホームな父娘の会話に、聞いていた母親はおっとりした口調でつぶやいた。
「・・・いつものことだけど、私、ついていけないわぁ」
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