第7.5話 陰謀

――――――――


(渚視点)


「そろそろ本格的に動こうと思う」


「あらあら。見込みのある部下の方がいると言っていた話ですか?」


 夕食の終わりかけ、父と母のそんな会話が聞こえてきた。


「えー?仕事には厳しい敏腕社長のパパが見込んだ部下の方って、災難そのものじゃない」


「・・・言うようになったな、渚」


なりましたとも。


まぁ少し前までは、私なりに思うところがあって、この手の話は口を出さないしあまり聞かないようにもしてたけど。

・・・ちょっとしたきっかけから、素直に聞くようにした。


「あなたはやると決めたことは曲げないので止めはしませんが、・・・あまりその方に迷惑をかけないでくださいね」


「それは、その部下次第かな?」


イタズラっ子と言うか悪ふざけをする表情の父。あ、こうなってはダメだ。


父はもう今年で50になるというのに、今だこう言った子供めいたところがある。まぁだから、いろいろな発想ができて一代で会社を大きくできたんだろうけど・・・何だかんだ尊敬はしている。


とは言え、ますます標的になっている部下の方が不憫に思えてきた。合掌。


「その部下の方って、お名前確か、せざきさんと言いましたっけ?」


「ああ、瀬崎だ。瀬崎臨也」


私は思いっきり食後に飲んでいた紅茶を吹き出し、父と母を驚かせてしまった。

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