第21話チラシ配り

チラシ作りが終わり、ある程度コピーもおわったのでチラシ配りをするということで集められていた。

正直今更チラシ配りなんかしたところで部員が増えるとは思えないけど、やらないと怖い人が多くなった最近のこの部活ではそんなことは口が裂けてもいえない。ていうかだんだん肩身が狭くなっていってるような気がするな。


「よーしみんな集まったな。」と瑞稀先輩が言うととりあえずみんなそれぞればらけてチラシ配りはじめるよー!とのことで僕は人の少なそうな中庭に来ていた。

チラシ配りに人の少なそうなとこ意味あるのって?それは少しでもサボりたいからだ。


まあ通った人にはとりあえずチラシを渡していくのだが思った通り放課後と言うこともあり中庭には人が少ないようだ。

「こんなチラシ今更だろ。なんかねむくなってきたな。」と思いつつベンチに座りながら休んでいた。とその時にいきなり後ろから「わ!」

と驚かされる。


なんだ誰だと思いそっちを向くとそこにいたのは瑞稀先輩だった。

僕はまずいと思いながらも、ここで弱気に出ては怒られるかもしれないと思いながら

「なんだ先輩か。いきなり後ろから脅かすのはやめてくださいよ。」と少し安堵した。なんで先輩で安堵するかって。そんなことわかるだろ。川上さんなんか最近怖いんだよ。最初のイメージよりなんかだんだん怖い人になってきたからだ。

どうせ瑞稀先輩もサボリだろうとおもっていた。

「なんだとは失礼だな。こんなところでサボってる奴になんだとはいわれたくないなー!」と笑い混じりにいわれた。


「先輩も同じ考えでここにいるんじゃないんですか?」


「そんなわけないと言いたいところだけど半分正解ってところかなー!」なんだそのなぞなぞみたいな言い方。


「じゃあ残り半分はなんなんですか?」


「それは翔平がいなかったからどこで配ってるか見にきたんだよ!」なんだただの暇人か。

何で僕を探すのか。いやもしかしてさぼってると思い探されていたのか?

「なんか失礼なこと言われた気がするな。柚木に告げ口するぞー!」


「それは本当にやめて下さい。怒ると本当に怖そうだから。」

ほんとこの先輩よく見てるな。僕の苦手なところを確実についてくるな。


「まあ今日は勘弁してあげるよ。とりあえず休憩しよっかなー。」


「そんなに休憩するほど配ったんですか?」


「それは翔平には言われたくないけど、ほらみてみ!もうほとんど配りおわってるよー。」

とドヤ顔で言われたがまあ確かにそんなに時間も経ってないのにそんなに配るなんてズゴイな。


「どうやってそんなにくばったんですか。さっき始めたばかりなのに。」


「しりたい?なーしりたいー?」

あーほんとうざいなこの先輩。でもそのコツをちょっと聞いとかねば、この大量チラシを持って部室に戻るのはちょっとな。


「はい。めちゃくちゃ知りたいです。」


「正直でよろしい。じゃあ教えてあげよう。それは配った子に何枚か渡してこのチラシ友達にも渡しといてって言ってもっていってもらった。どう?すごい知恵者みたいじゃない?」


「それで本当に渡してくれたら良いですけどそのまま捨てられる恐れありますよね?」


「あ!その発想はなかったよ!じゃあこの方法だめじゃん。」

まあ瑞稀先輩らしいけど、確かにこの方法を使ったら捨てるか捨てないかは置いといて量は捌けるな。

「聞きたかったんだけどいい?」と先輩いきなり聞いてきた


「なんですか?」


「最近は柚木が入ってきてくれて美希ちゃんも手伝いにきてくれて賑やかだけど翔平はどう?たのしい?」


「何でそんなこと聞くんですか?」

もう勝手に人を連れてきてっていうか、人がいなかったら部活も無くなるし仕方ないことだ。


「だって翔平は賑やかなところ好きじゃないでしょ。確かに私が柚木を連れてきたりとか部活メンバー増やそうとして、そこがちょっと矛盾しちゃうかもだけど翔平は部活にいて居心地悪くなってないかなとおもって。」

なんでこの先輩はこんな僕をよく見ているんだ。この後輩思いなところがほんとに頭が上がらないな。


「まあ確かににぎやかなところは苦手ですしちょっと前の部活は静かでたまに先輩が来るぐらいがちょうど良かったくらいでしたけどまあ今の部活の雰囲気も嫌いではないですよ。」

正直にいった。確かに僕は静かなところが好きだ。でもなぜか最近は賑やかな部室も悪くはないなと思えてきていた。

「そっか。そっか〜!よかった。もしかしたら翔平が居心地悪くなってやめちゃったら嫌だなとおもってたんだよ。それならよかったよ。」


「部活が嫌だったらすぐやめますし、わざわざこんなことしてないですよ。」


「そうだね。」


「あー!二人ともさぼってるー!」

と校舎の中から美希が言った。

「美希ちゃんにみつかっちゃったね。」

といたずらっぽくわらう。いきなりだったのでその無邪気な笑顔にみとれてしまった。


「しょーへー!サボってたら柚木にちくるよー」

何でみんな僕が川上さんを怖がってるってわかってるんだ。

「わかってるよ。そろそろ始めようとおもってたんだよ。」


「じゃあ残り終わらせにいきますか!」と先輩は僕の手を引き走り出す!


「あー先輩ずるいー!」と言う美希に何がずるいんだとおもう翔平だった。

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