第13話はちあわせ

次の日の放課後になり、僕はもともと薄い影をより薄くさせながら教室を出ようとしたその時に川上さんに「神田くん!」と笑顔でつかまってしまった。


「神田くん。部室に一緒にいきましょう。」とここで川上さんに誘われてしまっては断る言い訳もでてこないが、僕は何とか距離をちょっとおきたかったので

「ちょっとトイレに行ってから行こうとおもってまして。川上さんは先に行っていてください。」というと


「そうでしたか。ちょうどよかったです。私も行こうと思っていたので。せっかくですし部室には一緒に行きたいですし。」


「え?あー」

と僕は言葉が出ない感じでそれでも何か言いたかったが

「神田くんはなんだかそのまま帰ってしまうような気配が感じるので一緒に行きます。」と川上さんにそこまで言われてしまってはもう無理だろうと思った。


「わかりました。いきましょう。」


「はい!」

と話しながらトイレを済ませて部室へ向かう途中にいきなり呼び止められた。


「しょーへー!なにしてるの!」と後ろから全速力と思うくらいの衝撃でぶつかってきたのはあほうだった。

ほんとにこいつは声だけで呼び止められないのか。


「美希!いたいよ。呼び止めるなら名前を呼んでくれたら止まるからぶつかってくるのはよしてくれ。」


「ごめんごめん。ついついね!でしょーへーは何してる?」


「何って部活へ向かう途中だよ。」

それ以外にこの放課後の過ごし方を教えて欲しいものだ。


「部活って文芸部だったっけ。まだやってたんだ。」


「まあな。それよりなにか用事があって呼び止めたんじゃなかったのか?」

まあ、なにか用事があるとも思えないが一応聞いてみる。

「うーんとね。用事があったわけじゃないんだけど、ちょうどしょうへいを見つけたからはなそーかなって!」


「いや家が隣なんだからそこで話せばいいだろ。それに川上さんもまたせてるんだよ。」


そう言いながら川上さんの方に顔を向けると、なんだか不機嫌そうな感じだった。まあそうだよな。自分をそっちのけで待たせたんだから。


「川上さんごめんね。またせてしまって。」


「いやそんなことないですよ。それよりも仲がすごく良さそうですね。」

 


と怖い声色でいう川上さんにぼくは美希のことを紹介することにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る