第4話 ゴブリンとゴブリン

 楽しい人生が本当に送れるかはさておき。


 目の前の水晶化ゴブリンさんどうやらお仲間がやって来たらしくギャッギャッと騒ぎ出し始めた。


 遠方からやってくるはもう一体のゴブリンさん。やってきたゴブリンさんもギャッギャッと騒ぎながらこちらに向かってくる。意気揚々だ。


 やって来たゴブリンさんの見た目が水晶化してるゴブリンさんとちょっと違い、こちらのゴブリンさん所々がメタル化している。メタル化してる箇所は鏡面みたいにきれいな銀色だ。


 お互いに5メートル感覚ぐらいに近づいたと思ったらギャッギャッとより一層騒ぎ出し、地面なども両手で叩きだし騒ぎ出した。なんか小さい頃テレビでこんな部族の踊り見たことあるなぁ。熱烈な歓迎の儀式みたいな物なのかもしれん。無人島の森の中で一匹のゴブリンがまた森の中で彷徨っていたゴブリンに出会う。人の身である俺にはわからない、感動的なシーンに出会ってしまったのかもしれない。


 そんなゴブリンさんの生態について思い耽っていると急にゴブリンさん達がお互いにタックルを交わし、殴り合いをし出した。


 これがゴブリンさん達の挨拶なのか?超がつくほどの体育会系なのかも。


 どうだぁ!俺のパンチ力上がっただろ!


 ハッ!俺の拳の硬さこそ至上よ!!


 こんな会話が行われているのかもしれない。


 うん、ゴブリンて知能が低そうな魔物の代表そうだし、ありそうだなと思っていると。メタル化ゴブリンさんが水晶化ゴブリンさんに馬乗りになってこれでもかっ!てぐらいたこ殴りしだした。水晶化ゴブリンさんも最初はガードしながら攻撃しつつとやっていたがやはり体勢的に不利、気を失ってしまったのか何もできず体は痙攣している。水晶化している部位も少し欠けてしまって破片がとんでいる。これが俺の知っている試合のルールならレフェリーが止めに入ってメタル化ゴブリンさんのKO勝利なのだが、メタル化ゴブリンさん全く止まらず殴り続ける。しまいには立ち上がり、もうなにも出来ない水晶化ゴブリンさんの頭をおもいっきり蹴上げた。


 蹴り上げられた水晶化ゴブリンさん見るも無惨な姿である、殴り続けられた顔面もひどいが、最後の一発の蹴りで完璧に首があらぬ方向に向いている。


 メタル化ゴブリンさんは勝利の雄叫びをあげ、来た方向とは違う方向へと歩き出し去っていった。後ろ姿はまさに戦士、戦いぶりからも見てかなりの強者なのだろう。


 ワンチャン、メタル化ゴブリンさんから後輩の水晶化ゴブリンさんに対しての肉体的指導があったのかもと、水晶化ゴブリン起き上がらないかなぁとか思っていたが一向に起き上がらず、まぁ首が確実に折れちゃってるしね。確実に亡くなっておられる。


 うん確実に敵対関係だったね。ギャッギャッ騒いでたのも敵に対して威嚇だったのかも知れないし、敵だ!と興奮してたのかもしれん。


 去ってしまった勝者であり強者で戦士のメタル化ゴブリンさん。そして敗者で死亡してしまった、結果的にいまひとつになってしまった水晶化ゴブリンさん。僕はそっと水晶化ゴブリンさんを保管庫に収納した。ゴブリンの体なんて普通は使い道がないのが一般的なファンタジーの常識だけれども、なんといっても所々は水晶化してるのだ。きっと使い道があるはずだ。


 ちょっと森を探索し範囲内......【ハウスクリエイト】で作ったこの空間を仮にドームと呼ぶか。ドーム内に入って俺が使えそうだなと思った物は保管庫に集めている。そんなことをしながら森を歩いていると空は暗い茜色、もういい時間である。そろそろ本格的に家を作って、取ってきた食材を本当に食べられるかの判断もしたい。

 また休み明日にも備えたい、いったん靴を脱ぐ。


 ということで【ハウスクリエイト】!


 一人だし声に出さずにスキルを使う。想像するのはまずは必要な箇所である。トイレに風呂にキッキン、ソファにベッドに何か諸々と必要な物。いや、もっと大雑把に考えてもこのスキルなら対応してくれるだろう。


 改めて想像するのは和風な旅館に寝る所はホテルみたいな部屋。


 今は俺はドーム内にいる。そしてドームが広がり部屋になっていく、寝心地の良さそうなキングサイズのモダンなベッドが出現し、いいあんばいに光る照明がある部屋になった。


 どうやら家が出来上がったらしい、確認がてら中の様子を見て回ろう。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る