第3話 あれ・・・・・・水魔法って

 ワニの観察続けていたがワニはどうやら腹も膨れたのか少し砂浜でゆっくりし、気が済んだのか海の中にのそのそと戻っていった。ワニってなんか悠然としているよな。


 その様子をとりあえず水魔法で出した200㎖ぐらいの水を球状にしながら手の平に浮かべながら見ていたが、分かったことが二つある。


 まずワニがカッコイイ。こんなに間近で見ることなんてまずできないから、かなり楽しかった。まぁ自分が爬虫類が好きってのもあるけど、かなり興奮した。


 もう一つは魔法を発動するのにあたって魔力を使うが、魔法を発動した後の、今回でいう水球を移動させたり維持するのには魔力を消費しなかったと体感では感じられた。つまり仮定だが、魔法を発動さえしてしまえば魔法はその魔法が終わるまで在り続けると現状では思われる。


 すべての魔法を知っている訳でも熟知しているわけでもないのでどこまでが本当に正しいかは分からんが、たぶん体から魔力は最初の発動以降失われていないと思う。そうメイビーである。

 

 今の所、持っているスキルに魔法と全て苦も無く使えているし順調だろう。


 ーーーーーーー



 砂浜を歩いて適当になんかないかと、練り歩き物色しているとヤシの木みたいな木が所々に生えていた。俺が知っているのと違うところはヤシの実の部分が大豆が大きくなったような形をしていることだ。手に取らなくても一目瞭然、もう見てなんか大豆がなってるなぁと思ったぐらいすぐわかった。


 食べられるかどうかも未だ不明なので、この大きな大豆もとりあえず保管庫に入れておく。


 先に話した通り、スキル【ハウスクリエイト】によって、俺の周囲には半径三メートルの円が展開されている。この円内にある物であれば任意で保管庫に収納できるのだ。うん、本当に便利だこのスキル。


 現状、水と一応食料、住処に関しても用意はできた。食料に関しては食べられるかどうかの判別も必要なんだが、ちょっとここに来てうれしい不安が一つある。


 先ほども言ったが【ハウスクリエイト】が本当に有能である。もう有能すぎて困ってもいないのに困っちゃうなぁと言いたいぐらいである。うん、ほんとそう。まぁそんなスキルだったらいいなぁと思いながら、神様には作ってもらったのだから要望道理で本当に感謝しかないのだが。ここでさっきの不安、いや誤算か、うれしい誤算と言うべきなのか。


 簡単にいうと、家って電気も火も水もあるよねってこと。普通に家ってそういう物だし、もちろん中には水道もキッチンもない家もあるっちゃあるが。一般的な家と言ったらそういう物がちゃんとある。それに俺が想像した作れる家というスキルは、城のような家や旅館のような家、はたまた一流ホテルの一室、キャンピングカー等々。もうホントにどんな家でも創造できる。さらにはいろんな環境も効果も設定できる最高のスキルを俺は頭で想像し、神様にそれを実現できるスキルを貰ったのだし。


 魔法に関しては手探りでいろいろと探っていかないと理解ができないけど。スキルに関して本能的に理解できてしまうんだよね。うん、確実にキッチンにある蛇口から水出るね。


 つまりは、水魔法必要なくねって事につながるんだよね、うん。今思うと神様たぶんこのことに気づいてただろ。一言あってもいいと思うんだけどな、まぁ過ぎたことはいいか。結果的に水魔法を選んでしまったし、それが変わることもない。なら今ある現状の手札でこの無人島を生きていこうと思う。けっして水魔法はいらない子なんかじゃない。ただ単にスキルが優秀すぎるだけ。俺の努力次第では君は化ける!めんどくさくてめんどくさくて努力しなかったら・・・・・・いらないーーーー


 閑話休題


 ところ変わって今ワタクシこと夜光彗。森の中にいます。もちろん【ハウスクリエイト】で作った空間の中にいながらここまで移動しています。安全第一。実はワタクシ森の中である方に出会いました。そう、この方ゴブリンさんです!!


 おふざけはここまででとして、とりあえず初遭遇モンスターはゴブリンだった。ワニもモンスターだったかもしれないが・・・・・・


 それらしいファンタジーモンスターの初遭遇はゴブリンである、身長120センチ程で皮膚の色は緑っぽくて、大きな鼻に尖った耳。まさにセオリー通りのゴブリンである。ただなんか一つ普通のゴブリンと違うところがある。見た目は一見普通なんだが、所々皮膚が、いや透き通っているからその部分は全部か。つまり所々体の一部がダイヤというか水晶みたいになっている。目の前のゴブリンさんは左耳と右手人差し指、右肘、左足の膝がダイヤ・・・・・・(水晶化ってことにしよう)水晶化している。凶悪な顔のゴブリンさんだが、水晶化している箇所があるのでなんかかっこ良くも見える。血管とかもろもろどうなってんの!?とつっこみたくはなるがよく見ると断面はそのまま皮膚の緑色だった。簡単にわかりやすく説明するなら、例えば同じ大きさの四角いブロックが三個ある。その内二つは緑色で、一つは透明のブロックである。このブロックを横に隙間無く、くっつけ三つ並べてみよう。左から緑のブロック、透明のブロック、緑のブロックと、左右どちらでもいいので透明のブロックを通して見える隣接した緑のブロックの断面は緑色である。


 血管とかどうなってんの!!


 ここら辺のことはファンタジーだからでとりあえず済まそう。魔法もある世界だしね。


 閑話休題


 この水晶化が、このゴブリンが普通じゃなくて異例なのか、それともそういった種族なのか、はたまたこの世界のゴブリンはこれが普通なのか、もしくは何かしらの外的要因がこの島、この世界になにかあるのか。現段階では謎だが個人的には面白い発見である。これは前世の日本では味会うことはできない未知へのワクワクだ。前の人生では冴えのない人生だったが、おそらく今生では楽しい人生が送れるだろう。


 

 

 


 

 

 

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