第2話 スキルと魔法

 目の前に広がるのは白い砂浜に地平線まで続く青い海、そして青く壮大な空だ。空にはここが地球では無いと言うことが一目で分かる明らかに月とは違う星が浮かんでいた。


 ポンッという音とともに白い光が現れた。先ほども見たのでこれが神の光だというのがわかる。光に触れまた俺は理解した。内容は簡単だった、俺が隕石魔法を使えるという事。理由は死因が隕石による物だったかららしい。


 まさか水魔法以外を使えるようになっていたとは、一つの魔法を覚えるのはかなりの時間と労力が必要なのは魔法を選んだ時に理解していたのでこれは本当に幸運だたった。


 隕石に当たって死んだのは不幸だと思うが......


 さて無人島に着いたことだし、まずやらねばならないことをせねば。


 はじめに神様に作ってもらったスキルを発動する。


「ハウスクリエイト」


 まぁ言葉に出さなくてもいいんだが初めてなんだし一応ね。

現れたのは一枚の扉。俺はその扉を開け扉に入る。そして扉は砂浜から消える。もちろん俺もそこにはいない。そう、無人島は一見また、無人島に戻ったのだ。


 

 想像したのは外からは見えない透明な通路に一枚の扉。中に入れば俺も消えるし、扉も消したからもう外からはこちらを見ることはできない、作る際に俺以外はこの中に入る事はできない様に設定し、外からは見れないし、触れない、すり抜けるみたいな感じでと、結構曖昧な思考でスキルを発動したけど、どうやら上手くできたみたいだ。正直できちゃうもんなんだなと、自分でも驚いている。 まぁ、神様直々作ってくれたんだから当たり前か。


 とりあえず空間を俺を中心に半径三メートルのドーム型にして俺の動きに反応して動くように想像してみた。結果はできた。ちなみに内側からはどこまでが範囲か視認できるように縁の所は三十センチだけちょっと暗めな色付けにしている。


 つまりこれで俺は安全かつ快適にこの無人島を探検できるのだ。......たぶん。


 スキルの方はなんというか、感覚で使えるのが実際に使ってみてよく分かった。


 次は魔法である。


 今現在、俺が使えるのが水魔法に隕石魔法。水魔法はなんとなく理解というかイメージはできる。あくまでイメージだ。よくラノベ主人公またはモブ登場人物、必ずと言ってもいいぐらい水魔法は使われているし、なんだかんだ水という物自体だって身近な物だ。H2O。水の化学式だってちゃんと勉強したことがある人はパッと頭に浮かぶはずだし、生きていくにあたって水という物は人に限らず生物にとって重要な物の一つだと言える。


 では、隕石は?


 もちろん俺自身は隕石に当たって死んでいるし、そのことで隕石魔法なんて物を使えるから普通の人よりは身近にと言えるが......

 

 そもそも隕石という物自体をなんとなくでしか理解していない。宇宙から降ってくる石か岩。


 恐竜を絶滅させた、これだって、そもそも隕石自体が直接絶滅させた訳ではなく、間接的に隕石が原因で氷河期が訪れ絶滅。というのが俺自身の隕石への理解というかイメージである。結構大雑把な知識しかないし、ほぼ未知。


 深く考えるとすごーい面倒だし、こういうときは簡単に物事を考えようと切り替える。極端というか、大雑把とも言えるんだが。零か百か理論である。

 例えば爆発でいうと、百を核爆発として、零を線香花火とする。百の核爆発は言うまでもなく危ないし危険である。それに対して零の線香花火は危険か?といわれればそこまで危険ではないといえる。線香花火一本で、それも正しい使用方法で、人に危険が及ぶかと言われると、及ぶことはあり得ないと言うしかない。


 ......本当にそうか?線香花火一つで人は殺せないか?百を.....


 閑話休題


 そう考えると隕石は?


 確かに直径一キロの隕石降ってきたら危ない。うん、かなりの人が死ぬだろうし壊滅的な事だと思う。


 じゃあ直径一センチの隕石が降ってきたら?


 たいした事にはならないと思う。俺自身隕石に直撃して死んだから本当は一センチでも危険だとは思うが、直撃せずに地面に降るだけならたいした被害にはならないと思う。

 

 どこかの町に一センチの隕石が落ちたらその地区の学校では話題になるし、すごいと騒がれるが、他県ではニュースで流れて見て、へぇーそうなんだー。ぐらいだと思う。


 それを踏まえて俺は目の前に見える大海原に直径一センチぐらいの隕石落ちろと念じる。


 体の中から少し何かが抜けるのを感じる。おそらくこの何かが魔力なんだと思う。


 パァンッ!!


 俺が立っている波打ち際から丁度十メートルぐらい離れた海面の所に一メートル位の水柱が立つ。


 できた。水柱が立った場所。そこは寸分違わず俺が頭の中で隕石落ちろと念じた所だった。


 その後も隕石魔法を海面や砂浜に打ち込んでみた。隕石魔法の隕石が落ちてくるのが見えるようになったし、砂浜に落ちたやつは小さいながらも、直径二十センチ深さ十五センチ位のクレーターを作った。


 水魔法の方も一発で水が出た。想像以上に順調である。


 ザバーン!!


 !?えっ......ワニ?


 急に海から六メートル級のワニが砂浜に勢いよく飛び出てくる。口には魚が二~三匹咥えられており上手そうに捕食している。


 実は海面に隕石魔法の練習をしている際に隕石の衝撃の余波なのか、隕石が落ちた周囲にぷかぷかと魚が浮いてきたのだ。


 これはいい食料になると思い最初の方はスキル【ハウスクリエイト】で浮かんでいた魚を回収していたのだが、なんか見た目がまずそうな物は回収せずに放っておいたのだ。回収した魚は常態保存の効果を設定した部屋を作って今はそこにしまっている。とりあえず名称は保管庫としている。


 とりあえず目の前のワニだ。あらためてみるとでかい。色はかなり濃い緑、下手したら黒にも見える。


 何でこんなにも動揺せずにいられるかというと、今ワニには俺の姿が見えていないからだ。そもそも【ハウスクリエイト】で作った家というか空間から一歩も出ずに行動していたからな。この【ハウスクリエイト】かなり便利で強い。魔法の練習していて分かったのだが隕石魔法の時は隕石はこの空間の外に反映した。そう、俺がこの家にいながらだ。つまり俺は安全な空間にいながら相手に攻撃できるって事だ。ちなみに水魔法はハウスの中でも普通にできた。最初の設定が今も生きていて、外からはこちら側は見えず、触れず。こちらからも触れないが、ただ見ることはできる。


 とりあえずこのワニを観察でもしてるか。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る