異世界ハウスクリエイト

紺七

第1話 そう、それは突然に

 俺の名前は夜光ヤコウ スイどこにでもいる30歳のアラサー独身である。


 今日もクソみたいな一日を送るために別に好きでもない会社出勤中である。


 自分で言うのも何なんだが、どうして俺はこんなにもついていないのだろう。

 

 例えば,宝くじで大金が当たったら、きっと上手くお金を使って働かなくてもいいように、月々生活に困らないような額が、自動的に口座に振り込まれるようになるようなシステムを作るのに。


 そう、これは妄想で意味のない、中身のない凡人なら誰でも考えるような下らない考えってことも自分でもわかっている。


 そう俺は30年生きてきて自分の価値が見出せない、もっというと自分の人生が無価値だとわかっている。そうわかっている。自分が後悔していることも。戻れるなら、タイムマシンがあったらと、ホントそこらにいる普通の人のように、後悔している。


 そんな下らない事を考えながら俺は隕石が当たって死んだ。


 ちなみに隕石に当たって死ぬ確率より宝くじの一等が当たる確率の方が低いらしい。

 あくまでらしいだ、くわしいことは知らん。




 気が付いたら白い空間にいた。


 ここはどこ私は誰!?なんてことは考えない、正直どうでもいい。


 あぁ、なんか白い空間にいるなぁぐらいである。


 そして目の前に白いスーツを着たイケメンがいる見た目20代後半ぐらいだろうか、どの年齢層にもモテそうな感じだな。上からは将来有望だなぁ。とか思われそうだし、下からは頼りになりそうとか思われそう。


「はい!! 君注目。えーと、君の名前は夜光彗君ね。なんか君達観してるねぇ。まぁそういう子もたまにはいるか。ちなみに俺神ね。えー神様なんて本当にいるの?胡散臭いんだけどと思うかもしれないけどホントなんだなこれが。はい、説明も面倒だしホイッと」


 ちょっと低めの低音ボイス。いわゆるイケボでそう言って、こちらに手のひらを向けた男の手から白い光が放たれた。


 光が俺に当たり俺はすべてを理解した。


 俺はどうやら隕石に当たって死んでしまい魂の状態なっていること、目の前のイケメンは本当に神様で名前はレプチノーザ。どうやら俺を違う世界に転生させるらしい。白い光を当てられた瞬間それがわかった。そう理解させられた。


「理解したかな。君はね、選ばれたのさ。あーでもね勘違いはしないでね。特別とか、君じゃなくちゃいけなかった。なんてことはないからさ、たまたま死んだ魂の中からくじ引きみたいに引いたのが君だったってこと。詳しいことはホラっね」


 レプチノーザが指をならし、また俺は理解させられた。


 本当に俺はたまたま数あるそれこそ数千、数万、数億とある魂の中から特に意味もなく引かれただけということ。特に深い意味はない。ちまたで有名な転生系ラノベの神様の手違いとか、主人公が特別なやつでとかでもない。そう本当に誰でもよかった。ちなみに神であるレプチノーザがなぜこんなことをしているのかということも理解した。


 神々の間で異世界に魂を転生させるのがどうやら流行っているらしい。完全に暇つぶしだ。神々は自分が転生させた者が世界にどのような影響を与えたとか。どんな活躍をしただとかを自慢したり話の種にいているらしい。


 正直、神界隈の最近の流行なんてどうでもいいんだが、どうやら転生しても記憶は残してくれるらしい。そのことに関しては正直ありがたい。俺は自分の性格が嫌いな訳じゃないし、この考え方は自分でも結構気に入っている。


 それにこのイケメン神様は別に俺に何も期待してない所も結構うれしい。自分で言うのも何だがおれは期待されたり頼りにされるのが好きではない、嫌いというか、絶体嫌だとかではないんだが。その意味では感謝している。それに特に転生した後、あれして欲しいとか、これして欲しいとかもないらしい。自由にしていいそうだ。神様からしてみても今回俺がはじめての異世界転生者らしくテストも兼ねているらしい。ちなみに今回のテスト転生において俺自身が決められるのは3つだけだ。


「で、君はどこに行きたい?」


 まずは場所。神としてもいきなり変な場所に転生されてもいやだろうとのこと。確かに変な風習のある集落や、変な法律のある国なんかに転生させられても困る。俺は人付き合いも苦手だしパリピでもない。俺が学生の時は陰キャなんて言葉は多分なかったと思うがあったら自分でも陰キャだなと思っていたと思う。


「孤島なんて場所はありますか?できれば無人島がいいんですが」


「無人島ねぇ、というか君敬語で喋るんだ。ははっ、もちろん神だから君の思考は読んでいたんだけど、敬語を使うようには思えなかったからさ。まぁそんなことはいいか。うん、あるよ無人島。孤島で人は誰もいない、もちろん誰かが来ることもない。君自身が島から出ようとしない限り会わないね。じゃ場所はそこで」


 条件はいいだろう、神様も人が生きてはいけないような環境の無人島にはいかせないだろう。もしそんな場所でも今思考を読んでるんだし変えてくれるだろう。


「次は魔法だね、どの魔法がいい?」


 二つ目は魔法、そう俺が転生する世界には魔法があるらしい。いわゆるファンタジー系の世界。魔物もいる剣と魔法の世界だ。ここら辺はラノベと同じらしい。魔法に関しては理論上、どの魔法も、どんな人でも覚えることができるらしい、センスと才能があれば早く覚えることも可能だし、どんなに才能がないやつでも時間さえかければ何だってできるらしい。才能の無いやつの大抵は初歩の魔法を何年かかけてようやく覚えられるらしい、そもそも進歩のない魔法なんてやる意味が無いと投げ出してしまうのがほとんどらしいが。ということで最初に選ぶ魔法は


「水魔法でお願いします」


「水魔法ね。いいんじゃない。まっ頑張ってみてよ」


 飲み水は確保できた。普通に飲み水を無人島で簡単に確保できるかもしれないがこれで今後、飲み水の心配がなくなると思えばかなりいい選択だと思う。


「じゃあ最後だね、スキルはどんなスキルがいい?」


 三つ目、最後はスキルの選択。選択といっても明確なスキルが思いつかなかったらこんな感じのスキルってある?どう?みたいな感じでいいらしい無いなら無いで新しく作ってくれるらしい。太っ腹である。


「では、家が作成というか創作できるというか、なんて言えばいんでしょうか」


「あー大丈夫、大丈夫思考を読んでなんとなく分かったから。家を構築できて部屋の環境を設定できるスキルね。オーケーオーケー作ったからハイ、付けとくね。よしこれから君を異世界に転生させるんだけど最後になにか質問はあるかな?」


 転生と言っても俺が行くのは無人島。いきなり赤ちゃんからだと何もできないと言うことで二十歳の体の状態で無人島に転生されるらしい。ちなみに体の特徴はもし島の外に出る事になっても、怪しまれない異世界基準の顔や背の高さになるらしい。さらに言語に関しては初めて会った人の言語を日本語を喋るように普通に喋れるようになると指を鳴らしたときに理解した。他にも年齢を十五歳から六十五歳まで自由に変えることができて、二十歳のままでずっといたいなら、そのままいれるらしい。ある意味不老である。ただ普通に殺されたら死ぬし、寿命も七十七で終わりらしい逆に七十六で一気に十五に戻す事もできる。まぁ死に方なんて今はいいか。もう一回死んでるんだし。


 結構、好待遇な感じではないだろうか。うん、おそらく大丈夫だろう。


「はい、特にないですね。大丈夫だと思います」


「うーん。じゃあ、会うのもこれが最後だと思うし、まぁ、適当に頑張ってよ。では、さようなら、今度はいい人生送れたらいいねぇ」


 そしてイケメンのレプチノーザは手を振った。その瞬間おれは白い空間から消えていた。


「さて、彼はどうなるかなぁ、まぁどうなってもどうでもいいんだけど、すぐ死んじゃったら違う魂をまた送ればいいし、つまんなかったらそれはそれで違うの送ればいいしね。おっ!彼、島に着いたみたいだね。うーん?彼に覚えさせたのは水魔法だけっだったはずだけど......隕石魔法?......ははは!!彼、死因が隕石に当たって死んだんだったっけ。このままだと気付きそうにないから教えてあげようか」

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