第4話

「カッコいい名前のスキルだね?」


 篠原はそう言ってくれたが、名前だけだ。既にこの人物はそのスキルで1つの街を滅ぼしているのだ。しかもその責任ととって自ら死を選ぶそれくらい罪深いことなのだ。

 

「そういえば、さっきスキル使ってたけどこんな数日で制御できるものなのか?」

「うんうん。簡単だよ。ってそんなことも教えてもらえてないの?」


 僕と篠原が話していると都合よくザイールが牢獄に来たようで話に入ってきた。ちなみにザイールは日に何度かここへと足を運ぶのだが僕の処遇を決めかねているようなのだ。

 

「すまない。そういえば彼には何も説明していなかった。勇者だというのに・・・。」

「じゃあ私が説明してあげる!!この世界には職業っていうものが設定されているの。その職業と自分のレベルで自分の能力が追加されるのよ。私たちはレベルが低いからその辺の子供でも今は勝てないくらいにその能力値が重要みたい。」

「さすがは篠原君だ。要領を得た説明だ。」


 そこからは現地人であるザイールが詳しい説明をしてくれた。ステータスというものは力、生命力、気力、魔力、抵抗、器用、運、スキルポイントの8種類となっている。力はそのまま力という事だ物理的な攻撃力や防御力だ。生命力は動作の持続力やダメージを受けた時に死ににくくなるゲームでいえばHPの様なステータスだ。

 そしてここからは地球には無いステータスだ。気力・・・これは主に物理系のスキルを使える回数という事だ。いわゆるSPだ。気力がSPなら魔力は当然MPの事で魔力が多くなると魔法を使える回数が増える。そして抵抗はいろいろなものに対する抵抗力という事だ。風邪をひきにくくなるくらいに覚えておけばいいらしい。器用とは魔法やスキルのクールタイムに関係するもので結構重要なものだ。そして運、これは僕達が想像するような運ではなくスキルの出来に関係するものらしい。このステータスが低いと使った魔法が想定する威力に達しなかったりするらしいのだ。

 最後はスキルポイントだ。この世界はスキルポイント制となっていてそれを割り振って自分のステータスをカスタマイズするらしい。職業もここで選ぶことができるらしいが変更ができないので慎重に選ばなくてはならないらしいが、転移者は既に職業を持っていて選ぶことができないという事だ。


「へぇーーー。そのステータスってどうやってわかるの?」

「ステータスオープン!!」


 篠原が実演して見せてくれているようなのだが他人のステータスウィンドウは見えないようでからかっているようにしか見えなかった。僕は篠原がやったように「ステータスオープン」と言いながら指を動かす。

 

「・・・何も起きない。」

「大丈夫。私も2時間くらいかかったよ・・・。」

「異世界人はそんなものだ。少しバーサーカーの説明もしておこう。この世界には職業が設定されていると今聞いただろうがバーサーカーはその職業のうちの1つだ。そして職業とは基本的に後天的なものだが極まれに物心つく前から職業についていることがある。そのうちでも最悪なのがバーサーカーだ。何せ制御不能だからな。」


 そして悲しいことにバーサーカーのステータス上昇値は0と説明を受けた。無職でもレベル×1はあるのにバーサーカーだとそれがないのだ。だがその代わりバーサーカー状態になった時のステータスアップは尋常じゃないという事だ。

 

「制御できるときは最弱で制御できないときは強いのか・・・。役に立たない。で勇者はどのくらいあがるの?」

「なんかね。勇者なんて職業は無いらしいよ。本当は転移者っていうらしいよ。」

「古文書によれば昔の転移者が自分達を勇者と呼べと決めたらしい。我々も古文書の通り勇者と呼んでいる。勇者とは異世界における救世主の事なのだろ?」

「・・・」


 ゲームの話なのだけどね・・・。だがそこでわかった事はこの国では以前にも転移者を召喚する術で異世界人を呼び出したことがあるのだ。だが死んだ人間の召喚。これが悪い事なのか僕には判断することができなかった。

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