第9話 真相



 そんなこんな新しいスキルを得た俺達は、それから勇者達もびっくりの勢いで力をつけていった。


 なんていうか、一つ殻をやぶったっていったらいいのかな。


 今まで見えなかったもんが見えるようになった……って感覚に近い。


 どこがどうなったかって、聞かれてもうまく言えないけれど。


 これはもしや、俺達でも魔王討伐できるんじゃね?


 なんて雑談かわすくらいには成長したかもな。


 そんな中で俺達は、占い師のおばあさんに出会った。シャノンちゃんが会ったって言う、あの人物だ。


 おばあさんは、黒いローブをはおっていて水晶を持っているといった、いかにもな風体だった。


 一発で誰もが占い師だってわかる姿をしてるな。


 そんなおばあさんは、俺達にこの世界の成り立ちについて話してくれた。


 それは乙女ゲームのシナリオにものっていなかった情報だ。


 この世界の勇者は、国から認められた者達が活動している。


 だが、歴史上で活躍した勇者はそいつらではないのだとか。


 なんでも、天にいる神様的な存在が認めた勇者が、真の勇者だとか。


 それで、今回の勇者は「苦境に立ち向かう意思」を評価されて、勇者になるのだとか。


 ん?


 この話どこに着地するんだ。


 まさか、俺達がその勇者に選ばれたって話じゃないよな。


「そのまさかじゃよ」


 占い師のおばあさん、肯定。


 えっ、まじかよ。


 いや、いくら何でもそれはないだろ。


 俺達ついこのあいだまでただのモブだったんだぜ?


 なんだったら、只野茂部……ただのもぶ、なんて名前がついていてもいいくらいの存在だ。


 あっ、すみません。


 そんな名前の人がいたら失礼ですよねっ。


 ともかくだ。


 おちゃらけて脳に余裕ができたので考える。


 俺が転生したのって、まさかそいつらが原因とか?


「そのまさかじゃ」


 なんでだよー。


 ええー。


「お主は転生するまえに、エレベータに閉じ込められておったな。そこでの態度が評価されて、この世界に連れてこられたのじゃ」


 ああ、原作改変、半分は俺のせいだったんだ。


 ごめんよシャノンちゃん。


 君と結ばれるはずだった野郎達を屑にしちゃって。


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