第7話 受け取り拒否



 とある小さな町 『ジーク』


「そんなもんいらん」

「はぁ?」


 おっといけない。


 ちょっと予想外の事が起こって状況説明を飛ばしてしまった。


 悪い悪い。


 とりあえず、あれから数週間後。


 無事に俺達は勇者ご一行に出会えた。


 その頃には、あいつらずいぶん有名になってたもんで、めっちゃ大勢に囲まれてたな。


 近づくのも一苦労だった。


 で、親切なシャノンちゃんがここで宝玉を渡そうって言ったので、仕方なしに同意。


 きっと受け取ってくれますって言ったシャノンちゃんは、ひどい言葉で追放されても元仲間の事を信じてたんだな。


 そんなシャノンちゃんが、苦労して人垣をぬけたところで、宝玉を渡そうとしたんだけどさ。


「そんなもんいらん」


 だと。


 何だそれ。


「はぁ?」っていう反応にもなるだろ。


 お前どういうつもりだよ。


 何か天狗になってね?


 ていうか、何でそんな怪しい人間みるような目つきしてんの?


 俺はともかく、シャノンちゃんはちょっと前まで仲間だっただろ?


「どうせパーティーを追い出された腹いせに、嫌がらせをしようとしているんだろう。その手にはのらん。そんなゴミ屑、お前達が持っていろ」


 かっちーん。


 俺はともかく、優しいシャノンちゃんの善意を疑うとはお前ら本当に、人の血流れてんの?


 あん?


 ていうか、あんたら乙女ゲームの原作に出てくる連中だろうが。


 どうやったらそんな性格ひんまがるんだよ。


 原作では世の男性が「けっイケメンが」ってなるくらい、めっちゃキラキラ、イケメンイケメンしてただろうが。


 あー、そういえば、原作では序盤でけっこうきついイベントあったよな。


 勇者の名誉目当てに近づいて、騙そうとしてくる人とか。


 世界の救世主候補を利用して、私的な争いに巻き込むとか。


 えっ、じゃあ主人公がいないせいで、お前らあのイベント乗り越えられなかったの。


 まずくね?


 これ、俺のせいとかじゃないよね。


 いやいや、だってシャノンちゃん一回目の時、俺の誘い断ってたし。


 俺からも、ちょくちょく勇者達の事気にかけなくていいのって聞いたし。


 というか最大の原因は道端のモブ、占い師のおばあさんだし!


 俺は、悪くないもんねっ。


 ちぇっ、こうなったら全然期待されてない俺らが、魔王倒しちゃっても知らないぞっ。


 お前らより強くなっちゃっても知らないからなっ。


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