第6話 再登場の人
山岳地帯 『シャノン』
竜の討伐をすると言われたときは、また失敗してしまわないか不安でしたけれど、何とかなってよかったです。
ジークさん達は、自分達に見返りがほとんどないのに竜の討伐をしていました。
すごいですね。
勇者様達だったら、たぶん全部素材は自分の物だと言ってしまいそうです。
しかもジークさん達は、貧困にあえぐ村へ役立てようと思って、回収した素材をほとんどおいて行ってしまいました。
同じ事をよく言われてしまう私が言うのもなんですけれど、彼等は損な役をしていると思います。
「まあ、竜の素材なんて重くて持っていけなかったし、持ってたら持ってたで盗賊とかに狙われやすくなるし」
と、ジークさんがおっしゃっていましたけれど、きっと照れ隠しなのではないかなと思います。
そういえば。
けれど、竜を「えいっ」と倒した時に、心臓からぽろっと宝玉が落ちてきたんですけど、
これは一体なんでしょう。
山岳地帯 『ジーク』
なんか、久しぶりに悪役令嬢がつっかかってきたな。
貴族のお嬢サマらしく豪華な馬車に乗って、強そうな護衛を侍らしながらのご登場だ。
で、そんな悪役令嬢はシャノンちゃんが宝玉を持っているのを見て、「あぁっ!」と叫び声をあげていた。
竜の体内から出てきたそれだ。
なんでもその宝玉、大昔に散らばった伝説級の遺物だとかなんとか。
おとぎ話に出てくるようなすごいお宝らしい。
そんな物だから悪役令嬢は、「勇者様にそれを渡せば、魔王打倒の力になるわ」とか言いながら、強引に奪おうとしてきた。
おっ、今まではツンデレっぽかったけど、やっぱり悪役令嬢だな。
原作通りの行動にちょっと懐かしくなってしまった。
いやいや、そんな事考えてる場合じゃなかったな。
阻止しないと。
あれこれしてたら、なぜか。
ヒロインVS悪役令嬢みたいな決闘が始まってしまった。
えっ、そこは原作になかったでしょ。
拳と拳で(ビンタだったけど)語り合うのはジャンルが違うって。
でも、自分の手柄にする気まんまんだから、受けないわけにもいかなかったんだよね。
「シャノンちゃん、あれ渡すの嫌だから、渡すの阻止して。でも、荒事になってもちょっと気絶させるだけにしてね!」
だから、そう言っておいたら決闘になってしまったのだ。
ともかく、さくっと気絶させた悪役令嬢の相手はそれ以上せずに、さっさとその場からとんずらすることにした。
厄介事満載そうなこんな宝玉、持っていたくなかったんだけど、世界の命運を左右するというならばやむなし。
こいつはちゃんと俺達の手で管理しておくから。
後で国経由で勇者に渡してもらおう。
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