第3話 パワータイプに目覚めるヒロイン



 王都の大通り 『シャノン』


 先日、声をかけてくださった方の名前が判明しました。


 それなりに活躍している中堅冒険者さんだったんですね。


 ジークさんという名前でした。


 冒険者ギルドでは、そこそこ人望があるみたいです。


 気にしてくださったお礼を言いたいなと思って顔をだしたら、受付の人から教えてくださいました。


 なぜかその人は「あの人はまた、女性をほいほい助けてるんですね」と言っていたので、私に声をかけたのは特別な事ではなかったみたいですね。


 きっと、お人よしな人と言われる方なのでしょう。


 でも、せっかく声をかけてもらったのに、私ひどいですよね。


 つい驚いて、断ってしまいました。


 ショックな事があったのは確かですけど、もう少し冷静に対応できるようにならないといけません。


 昔から予想外の事が起きると、驚いて混乱してしまう癖があるんです。


 これじゃ、足手まといだと思われるのは無理もないと思います。


 落ち込んでいたら、ステータスが更新されたようで、効果音が鳴りました。


 たまに成長してレベルが上がったりすると、鳴るんです。


 私はステータス画面を確認してみます。


 すると、なぜか特殊なスキル(剛力)が与えられたみたいです。


 特殊スキルは、普段の行いを見ていた神様が、私達に与えてくださるものなんですけど。


 一体、どうしてこのタイミングで?


 首をかしげていると、目の前で友達の女の子が大変な事になっていました。


 近くに積まれていた箱がくずれてきて、下敷きになってしまったようです。


 私はあわててその箱をどけていきます。


 するとその友達の女の子は「助けてくれなんて言ってないんだからねっ。別に勇者様の周囲をちょろちょろしてる邪魔者がいなくなったから、寂しくて様子を見に来ただなんてそんな事ないんだからね。ばーかばーか」と言いながらその場から走って行ってしまいました。


 相変わらず元気なようですね。


 最近会えませんでしたけど、にぎやかな所があるので、変わらない様子でほっとしました。


 でも私、驚くことにとっても力持ちになっています。


 重たい箱もひょいひょい担ぐことができました。


 一体何がおきたのでしょう。


 たまに天の国にいる神様などから特別なスキルをもらう事があるので、そういった現象が私にも起きたのでしょうか。


 これなら、勇者様の役に立てるかもしれません。


 また声をかけにいってみようかな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る