第5話 新たな仲間とマッサージ
ケンタローは争っていたゴブリン達が静止し
"やぁ、こんにちは。何を争っているんだい ? " と、念話で挨拶をしてみたんだ。
この緊張感の中で、何を言ってるんだ ! と、ゴブリン達は、ずっこけそうだったろうね。
しかし、最初にハイゴブリンが、嫌な沈黙を乗り越えて、"コイツらがこっちナワバリ来る" と、念話で答え、反対側のゴブリンジェネラルも "アイツのナワバリの見識が違うんだよ" と、答えたんだ。
どうやら彼らは縄張り争いをしていたようだね。
改めてここの土地を見回してみると、右側の小山のふもとには小さな穴が空いていて、中が洞窟のようになっているようだ。そこを守るようにゴブリンが配置されているな。
そして、左側を良く見ると、森の繁みの中にメチャクチャすき間風が入ってきそうだけど、小屋らしき物がいくつかあり、やっぱり、多くのゴブリンが守っているね。
この右と左の双方が対立しているのだろうなと、理解できたんだ。
それならばと、お互いの話を「こっちか ?」「この辺か ?」と、聞いていくと、ゴブリンジェネラルの方はいろいろ主張をしてきた。
ジェネラルはこの中では別格で知性が高いみたいだね。
対するハイゴブリンも負けられないぞと、"コイツここ、ここはダメ" という感じで身ぶり手振り、頑張って主張してきた。
そのお陰で、大体どんな具合なのか判ってきたんだ。
そこで、ゴブリンにロープを持ってこさせて、木と木の間にロープを張って縄張りを分かりやすくしてやったんだよ。
"このロープからこっちはお前達のナワバリで、こっち側はお前達のナワバリだぞ"
すると、どちらのゴブリン達も大筋で納得してくれたようだ。ではこれで戦争は終結したのだろうか ?
全員がケンタローの方を見て、で、どうすんの ? もう、これで帰っていいの ? みたいな感じで、じーと様子をうかがっていたんだよね。
何だ ? ならば、ハッキリと仲直りをした感じにしてやろうじゃあないかと、ちょっぴりムキになって、ゴブリンのコミュ
さっきまで殺し合いの
彼らは握手やハグなどしたことが無いので、やり方を教えてあげたんだよ。
すると、よっぽど気に入ったみたいで、何度も、何度も、繰り返してやってるぞ。
「ウォー、ウォー」と、ハグをして喜んでいる姿を見るのは教育者としては、やりきった感があって良いものだねぇ。
ゴブリン達は新しいコミュニケーションを覚えた。
その内に双方のゴブリン同士で仲良くなってしまったんだ。
何だ、やれば出来るじゃないか、お前達 !
ナワバリもせっかく決めたけど、何かこれ要らないんじゃね ? みたいな感じになっている。俺の苦労を返してくれ !
"良いか ? 皆、よく聞けよ ! 今日みたいに腹が立っても、殴り合いじゃ無くて、相手の意見を聞いて、良く話し合って、握手やハグをすれば解決するんだからな"
すると、ゴブリン達は皆、ケンタローの話を聞いて、握手を求めてきたんだ。感動して泣いている奴も居るね。分かってくれたようで、嬉しいよ。
特にゴブリンジェネラルは抜群の知能を持つだけに、リョーマから争う前に話し合いをする、という考え方を説明された時には、天地がひっくり返る程の戦慄を覚えたんだ。
すると、対立していたゴブリンのリーダー二人は相談し感動をあらわにして、ケンタローの前に願い出たんだ。
""ケンタローの手下になりたい""
「えーーーー !! まぁいいか」
リョーマはゴブリンの一族をまとめてテイムしてしまったんだ。
ものすごくたくさんいるけど、全部テイム出来てしまったのだから、我ながら驚きだ ! テイムマスターすごっ !
こんなにたくさん仲間に出来るなんてスゴい嬉しいなぁ。何人までいけるのかな ?
「ゴブリンジェネラルは ? んー難しいな ! まあ良いか ? ジェネラルと名付けよう。今日からジェネラルだ」
すると、淡く光って元々ゴツい体格が更に逞しくなり、随分人間に近くなったよ。ごりマッチョか ?
「「ワーー !! モモー !」」 ゴブリン達から歓声が上がる。
「命名ありがとうございます、ケンタロー様。忠誠を誓います」
「うおっ ? 念話じゃ無いよな ! 名付けると言葉が分かるようになるのか ? 宜しくな !」
続いて、もう一方のリーダー。
「ハイゴブリンの君はハイドと名付ける」
すると、ハイドも淡く光ってスラッと一回り大きくなり、細マッチョな感じで人間っぽくなったよ。
「「ワーー !!」」 また、ゴブリン達から歓声が上がる。
「ケンタロー様、名前をありがとう !」
「はい、君達二人がリーダーだからさ。しっかりと皆をまとめてくれよ」
「いいえ、ケンタロー様がボスデス」
「まぁ、ボスでも良いけど、二人共、それぞれの集団のリーダーとしてサポートしてくれないかな ?」
「はい、ボス」
続けてメイジゴブリン達には、メイト、メイヤ、メイナ、メイルと名付けたよ。
ハイゴブリンには、ハイタ、ハイラ。
平ゴブリンには、ゴブゾー、ゴブキチ、ゴブ斗(ト)、ゴブ花(カ)、ゴブヨ、ゴブナ、等々、頑張って名付けた。全員で100人ぐらい居たよね。
ゴブリン達は、いやいや、ゴブリン改め、ゴブ人達は自分の名前が決まって大喜びだった。
そして、下っ端ゴブ人の女の子も相当可愛く進化したし、全員が
ついでにスライムにも名前をつけるか ?
「スライムのスラタ、君は今日からスラタだ !」
すると、スライムはとても眩い光を放って少し大きく青から透き通った白い色に進化したんだ。
驚くことにグレートスライムになってしまった。
付き合いが長いからかな。 ?
「ケンタロー !! ありがとー !」
「ハハハ、よろしくな !」
そして、ケンタローのステータスは、かなり上がったんだ。ジェネラル達の力と、メイジゴブリンの魔力の影響は大きいのかな ?
新しいスキルの土魔法、水魔法、弓術、剣術、槍術、変化、探知、身体強化、威圧、
人数が多いだけに得るものも多かったのかな ?
特に悪いことは無いからまぁいいか ?
ケンタローは仲間が増えて嬉しかった。早速ゴブ人とダークウルフの交流も始まったよ。
ウルフは、よしよしと撫でてやると喜ぶことを教えたんだ。
ゴブ人にも懐いている。
何だ、俺じゃ無くても懐くのか ? 浮気者め。
でも、俺が撫でた方が喜んでくれているよな ?
きっとそうだよな ?
もう、ブラシで洗ってやると喜ぶことは教えないからね。
実は、ゴブ人はかなり臭かった。
これはまずいぞと、ゴブ人を全員連れて小川に行ったんだ。
ウルフ達は水浴びをしている。俺とスラタはクリーニングのスキルとタオルを使って一緒にゴブ人達を洗ったんだ。
ゴブ人の汚れは凄かったよ。
小川の下流の色がにごるくらいの汚れだった。スゴすぎだ !
ウルフ達はイソイソと下流から上流へ移動したのだ。
ウルフでも、気になるのか ? ちょっと意外だったよ。
ウルフ達はキレイだからなぁ。
「スラタは汚いのが嫌じゃ無いのかい ?」
「全然嫌じゃないよ。汚いのがキレイになると気持ち良いよ」
この子は掃除係のかがみのような子だ。素晴らしいね。
ゴブ人は自分達でも洗えるので、教えてあげると上手く自分で洗えるようになったんだ。
ナワバリに戻って情報交換なんかをしていると、女子のゴブ人達がワラワラとやって来て突然、俺にマッサージをし始めたぞ。
驚いたけど彼女達は可愛いし悪い気はしないね !
「ボスの特権デスので遠慮なくどうぞ」 とジェネラルが言う。
「えっ ? オマエ達もリーダーだから一緒にやってもらおうぜ !」
俺はそう言って、三人でマッサージをしてもらったんだ。
「ボスは何だか良いにおいがするわ」
「素敵です❤」 などと言われ、キュッキュッと肩や太ももを揉んでくれるんだ。
「くーっ、上手いなぁ、たまらん !!」
あれ ? モテ期が来たか ? と調子にのってしまうよ。
あっそんなところまで…… こっちが照れてしまう。ヤバイよ、みんな上手過ぎだろ ? 一応マッサージなんだよね……
「くうっ、ああっ、ヤバイって !」
やたらとジュニアのきわをサスサスするぞ。時折ジュニアに触れて刺激を受けるんだ。くあーっ、ヤバイぞ ! ジュニアが猛獣になってしまうぜ ! 狙ってるな ? 彼女の目がそう言っている。
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