幕間 十七年ぶりの再会(1)

「今日は、生涯忘れられない日となるだろう。リーズ、愛しの我が娘よ……。来てくれてありがとう……っ」

「私にとっても、今日は特別な日になります……っ。お父様、はじめまして。お久しぶりです……っ」


 事件解決から4日後。私は兄様と共にジェナに向かい、お城で――『王の間』で、実父であるライノス・クアノス国王と再会しました。

 物心ついて、初めて見るお父様。威厳と優しさが詰まった大きな目が印象的で、パストお父様とは正反対で大柄な方。でも同じく温かな眼差しを注いでくれる、愛に溢れた人でした。


「レティリア、リーズが会いに来てくれたぞ。お前の……。俺達の子は……。元気に美しく、育っていたぞ」


 玉座にいたお父様は、指輪を――お母様の形見を持って歩いてきて、その指輪と一緒に私を抱擁。強く優しく抱き締めてくれて、それが終わると目を伏せました。


「リーズ。かつてのわたしは力不足故に、幼いお前を守る事ができなかった……。無様な父を許してくれ……」

「お父様は私の安全を第一に考え、苦渋の決断をしてくれました。感謝する事はあっても、恨む事なんて有り得ませんよ」


 あのままジェナで生きていたら、私は今生きてはいないと思う。ここまで成長できたのは……。色んなことを経験してこられたのは、お父様が正しい判断をしてくださったおかげです。


「兄様から当時のお話を聞いていますし、今の御様子で一目瞭然です。お父様にとっても辛い決断をしてくれださり、ありがとうございます」

「…………リーズ……っ。リーズ……っっ。リーズ……っっっ」


 ライノスお父様は感極まって、もう一度私を抱き締めてくれながら大粒の涙を流してくれる。

 今この場にいるのは、家族だけ。私も腕を回してお父様の温もりを感じ、そんな私達は兄様の穏やかな瞳に見守られる。

 こんな時間が、私は――私だけではなく全員が心地よくって、暫くこのまま。この家族で行う『家族水入らず』をたっぷり行って、抱擁が終わったのは10分以上あとだった。


「リーズ、ディオンも、ありがとう。おかげで、秘めていたものを伝えらえれた。……ここからは、について話をしたい」


 涙を拭い鼻を啜ったお父様は、父であり国王然としたお顔になりました。

 これから……。共和制への移行についてのお話、ですね。

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