社会批判


Q:この場面をライトノベルと文学に分けて批評せよ。


 多数派民族の富めるイケメンが貧乏で不細工な少数民族に向かってこう述べた。


 「皆に褒められる善いことをしていれば、必ず善いことが起きる。

 だから、この社会は何も悪くないんだ。悪いのは社会を非難するお前なんだ」















A:ラノベ「その通り。社会への批判があるなら、まず協力しやがれ」

文学「つまり、貧乏な不細工君は社会を非難してはならないって訳だな」


 ライトノベルはイケメンの利益に最適化されている。なので、社会問題を抱えた人間が出てきた場合、本人がこれまでの過去を自己否定してイケメン化すると誓えば報われる。この原理は主人公がイケメンでも不細工でも変わらない。ここで大事なのは、イケメンの行動様式の正しさが決して揺らいでないことだ。


 イケメンは社会不満を抱いている。なんで、俺たちのように行動しない無礼者が町をのさばっているんだ。なんであいつらは社会不満を表明できるんだ。ライトノベルはそんな不満を晴らすのに向いている。


 人種隔離が盛んだった頃の米国でも、白人に取り入って成功した黒人はいくらでもいた。この頃の白人もまた、黒人に向かって「文句があるなら、俺たちに歯向かうな。協力して俺たちに頭を下げろ。そして、歯向かう奴らを先頭に立ってやっつけてこい」と命じていた。

 白人をイケメンに、黒人を不細工に置き換えれば、ライトノベルの世界はこれとそれほど変わらない。主人公が魔人の血をひく特異体質だったら、人間に仕える良き魔人としてあなたの同胞を撃ちなさい。

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