川原礫


Q:川原礫『ソードアート・オンライン』(SAO)のキリトこそ、ラノベ界の理想の男子ですね?
















A:キリトはイケメン向きに造形された主人公だが、『アクセル・ワールド』の主人公の分身は、その世界観を楽しめまい。


 川原礫の代表作は『SAO』で、キリトがラノベ界の学級委員的ポジションにいることは確かだろう。もし実在したら、オンラインゲームを普通に楽しむイケメンの王子にみえるはずだ。

 オンラインゲームを主題にしたもう一つの代表作に『アクセル・ワールド』がある。こちらの太った主人公ハルユキは、いじめ目的で設定された「ピンクのブタ」というゲーム内のアバターを最強の英雄に育てることで、自己を性格改造せよと躾けられる。


 この基本設定をハルユキ系の人間は面白いと思えまい。トラウマの象徴を自分の最強にしろという命令だ。活躍したところで待ち受けているのは、学級委員ヒロインの好色なるゲーム内アバターだ。この勇気はラノベの文法を知らぬ外界に向けて示せるものでない。

 はっきりいって、この着想そのものが、キリト的な学級委員が考えた苛めの解決法にしか思えない。もちろん、川原はキリトの立ち位置にいる。


 そして、人気はアクセルよりもSAOに集中していった。川原礫の世界は明るいイケメンに都合よくできている。



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