「~しない」タイトル群

 Q:『恋愛しない田山くん』という題名の作品(架空)がある。ライトノベルと文学に分け、予想される展開と結末を述べなさい。
















 A:ラノベ「どうせ最後に恋愛するんだろ・・・やっぱりな」

 文学「本当に最後まで恋愛しないなんて」


 ライトノベルとは世俗の欲望に高潔さが完敗するシナリオしか許さない世界である。従って、恋愛拒否という反世俗主義は、嘲笑と共に葬り去らねばならない。

 従って、田山くんはモテモテのイケメンが非イケメンの価値観を冒涜して廻るために都合のよい造形でなくてはならない。そして、田山くんが涙を流して改悛し、イケメンの風俗に染まって最後に恋愛する。そんな展開が初めから約束されているから、物語を通して価値観を変えることのないイケメンのためのノベルなのである。


 文学の場合、「恋愛しない」と決めたら僧侶のごとく本当に恋愛しない田山くんが求められる。出家しないとしても、生殖活動となる結婚は見合いか、結婚式場での初対面で十分と言い切る田山くんの思想が、ラノベ読者の嘲笑を跳ね除けて輝き続ける展開を用意し、最後まで挫折しないようにすべきだ。


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