電撃文庫とメディアワークス

Q:電撃文庫の新人賞が、メディアワークス文庫のそれと一緒なのは何故ですか?

















A:電撃文庫がメディアワークスのものだったためだが、ライトノベルの二層構造が如実に現れてもいる。



 電撃文庫は角川に吸収される前のメディアワークスのものだった。それ故、後からつくられたメディアワークス文庫の新人賞と共通な訳だが、ハーレム設定が軸の電撃文庫と、男女の会話劇が軸のメディアワークス文庫の作品群はなんとかけ離れているのだろう。


 ここにライトノベルの二層構造を見て取ることができる。1990年代以降に台頭した読物小説レベルのライトノベルを目指す流れと、2000年代以降に盛んになり、ラノベの第一イメージとなったハーレム路線だ。

 角川内部の文学秩序では、電撃文庫はどんなに売れてもメディアワークスの下位である。ハーレム路線で電撃文庫がライトノベルの看板になろうと、メディアワークスの方が作風ゆえに上位なのだ。


 2010年代のライトノベル史とは、ハーレム路線がどんどんゲーム世界や異世界転生に流れて文学界の関心を集めなくなる一方で、読物系がキャラクター小説として上流の文学界に進出していく流れだった。電撃文庫とメディアワークス文庫の人気作は、おおむねこの流れで読むと上手く収まる。バトルファンタジー色が強すぎるが故に電撃に回されたメディアワークス回しでもおかしくないものが、明らかに他の作品と調和していない。

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