劣等生

Q:『魔法科高校の劣等生』の魅力をラノベの世界外に伝えるにはどうすれば良いですか?


















A:小林よしのり『ゴーマニズム宣言』や山野車輪『嫌韓流』の系譜に入れて外部に紹介し、百田尚樹や竹田恒泰あたりの賛辞をもらえれば、非難されてもより広い世界に本質が伝わります。


 『劣等生』の物語の1年編では、春に左翼団体、秋に中国、冬にアメリカ、回想編で沖縄侵略軍を模した敵を打倒する。見れば分かるように、右翼の中でも諍いが大好きな「Hanada」「Will」「正論」を愛読するような右翼男子の価値観に最適化されていることが分かるだろう。作中の敵は敬意なく弱い。夏の全国大会は政治的でないが、普通のスポーツ小説では定番の恐ろしく強いライバルが出てこないところに、自らの価値観の唯我独尊ぶりに奢っている姿がみえる。


 これは、国防精神の大切さを説く同作がラノベよりも、ゴーマニズム宣言や嫌韓流といった右翼民族マンガの系譜上で着想されたためである。最初はそのような文脈で流行したのだ。魔力は劣っていても武力は規格外れで理論家で妹に愛される権門で鈍感系で喧嘩が強くなくても理論家の主人公・司馬達也は、ネット右翼の理想を投影して佐島勤が造形されたお兄様である。初めはライトノベルでなく、右翼小説だったのだ。


 ヒロインが慰安婦もどきにお兄様と繰り返すのを角川が作品の象徴に据えたのは、作品の本質を広い世界に伝えるうえで間違った宣伝戦略だった。右翼小説性を前面に出していれば、「ネット右翼や名門系右翼やスパルタ右翼の怪しげな欲望があからさまに書かれている」と非難されても、民族運動の系譜に残る作品となっただろうに。ゴーマニズムを世に出す幻冬舎なら、必ず右翼ノベルとして宣伝したに違いない。




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