ブギーポップ


Q:上遠野浩平の「ブギーポップ」シリーズはラノベ界をどう変えたのか?















A:その世界観は、どうみても後のラノベの流れに乗れなかった。


 統和機構が管理する異能者たちのバトルと、哲学っぽい様々な問いを投げかけ続ける文章を織り交ぜたブギーポップシリーズは、中高生向けメディアというラノベへのイメージを大きく変えた。既存の冒険ファンタジーの延長に過ぎない「スレイヤーズ」などよりもずっと画期的なものだった。

 しかしながら、そんなもやもや要素のある作風は2000年代後半からラノベの主流でなくなる。ブギーポップは「涼宮ハルヒ」のような取りあえず美少女と踊っておけばよいというラノベの前に、人気で勝てなくなった。異能バトルでは、会話内容がより単調で喧嘩腰の『とある魔術の禁書目録』あたりに押されていった。


 上遠野はやがて、ライトノベルより上級のSFや一般ノベルの世界に主軸を移していった。話の流れを維持しつつ、ラノベ界のいろいろな流行を作中に取り込んでも、思考よりも戦闘場面を好むラノベ読者がついてこなくなったのだ。


 思考した内容は解答なしに戦闘によって塗り替えられるに過ぎないが、そんな水準の逡巡も短気になったラノベ読者は耐えられなくなった訳だ。

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