分岐点

禁忌

Q:児童文学は親を否定してはいけないとどこかで聞きました。では、ライトノベルで絶対にやってはいけない禁忌とは何ですか。














Q:アルバイトの道徳を否定するなかれ。


 親が子供に読み聞かせるためにあるのが児童文学だが、ライトノベルの親とはバイト道徳である。故に、バイトで学ぶ徳目を否定的に描写してはならない。


 簡単にいえば、バイトしている生徒は必ず、していない他の生徒よりも精神面で優れているように描かれねばならない。最初は精神的に劣っていたとしても、バイトという精神上の親に出会い、「頭の固い学校の先生」が教えないバイトの常識を学んで成長する物語にすること。


 天皇陛下のようなファンタジーの王子様が実際には庶民の仕事をこなせないと全否定するのは良くても、バイトすることへの全否定は決して許さないのがライトノベルの筆法である。



 文学のための具体例

 優しかったあの娘がバイトを始めたら、お金のためにしか他人に親切にしなくなった。

 それもそのはず、彼女のバイト先では、全ては対価を求めてやるべきであり、ただ働きの馬鹿らしさを常に刷り込む教育が行われていた。明るい挨拶とは自分が目立つためにやることで、無料の善意とは最も嘲笑すべきことであった。

 彼女は自分の性格の変貌ぶりに気付いて愕然とし、商売は人を優しくしないと悟り、バイトを辞めた。

 刷り込まれた価値観こそ使い捨て労働者の育成法と絶望しながら。

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