第12話

9月18日、私は死んだ。最期に大好きな人に会いたかったな、なんて、悲しむ彼の顔は見たくないのにね。

「ごめん、ね、棗くん」

嗚呼、まだ死にたくないなぁ、眠たくなってきちゃったな。


(あれ、何だかふわふわする、もしかして、天国?)

私は目蓋を開いた。そこには見なれた天井があった。そして、私はベッドの上にいて、それに、私の隣で大好きな彼が眠っている。

(あれ?私、生きてる?)

私は、彼を起こさないように身体を起こして、ベッドの近くに置いていたデジタル時計に目をやった、そこには9月18日の6時27分と刻まれていた。

(もしかしたら、私は死んでなくて、夢を見ているのかもしれないと、でも、これが夢でなかったら、時間が巻き戻ってる?そんな事があるはずないよね、)

なんて考えながら私はベッドから降りた。朝御飯と彼のお弁当を作り終え、時計を見ると7時を過ぎていた、私は彼を起こすために再び寝室に入った。彼をそっと揺すり声をかける、

「棗くん、棗くん起きて」

と言うと彼はゆっくりと目蓋を開いた、私は涙が出そうになったが、堪えた。

「やっと起きた、遅刻しちゃうよ」

と言うと、彼は起き上がり、私を抱き締めてきた、私はあの日と違う彼の行動に驚きつつ、今にも泣きそうな彼の背中を擦って、お腹の子に話しかけた。

「甘えん坊なパパですね」

なんて、涙が今にも込み上げそうになり、

「朝御飯冷めちゃうよ」

とだけ言って、部屋から出た。


私は、彼に、

「今日のお夕飯何食べたい?」

と聞いた、そして、少し間が開いてから、彼は

「今日は久しぶりに出前でも頼もうか」

と答えた。私は彼の発言もあの日と違うことから違和感を覚えたが、私は慌てて

「出前なんて久しぶり、何頼もうかなぁ」

と言った。

彼が家を出るのを見送ると、私はゆっくりと頭を整理した、私が死んだこと、死んだ日に戻っている?こと、そして、彼の行動、言動があの時と違うこと、でも、実際の話、こっちが現実で死んだのは夢って可能性の方が現実的だよね。私はうんうんと唸った。

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