第4話
時間は16時40分を過ぎようとしている。あの日だったらこの時間には電話が来ていたはずだった。 マナーモードを切っておいたが電話は掛かって来ることはなかった。僕はほっとして思わず胸を撫で下ろした。
退勤時間になり、僕は足早に家路に向かった。家の前まで着いたのでインターホンを押した。返事は返ってこなかった。もしかしたら眠っているのではと思い鍵穴に鍵を差した。鍵を開けるときの手応えがなかった。
(あれ、開いてる)
ドアに手を掛け開けたそのとき、僕は膝から崩れ落ちた。
あの美しい彼女が、白い肌が、僕はそれに近づきそっと顔を見た。そこには変わり果ててはいたものの間違いなく彼女だった。ナイフで刺されたのか近くには血の付着したナイフが落ちていた。彼女は身体中から血を流していた。腹部から、胸から、足から。
彼女を救うことができたそう思っていたのに、外へ出たら危険だとそう思っていたから、なのに、なのにまさかこんなことになっているだなんて。
「 あっはは 僕がが、僕が何をしたって言うんだ」
僕は彼女の亡骸を抱き締め泣いた。僕はまた、彼女を失ってしまった。
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