第3話

20××/01/05 晴れ


俺はバイクを運転している。

125ccクラスのバイクだ。

このクラスのバイクは最高だ。高速には乗れないが、維持費が安い。

長距離でも短距離でもガンガン使える最高の相棒だ。

行き先は海。ジャンクフードを食べつつ観光を楽しむ至高の計画だ。


「あ~... 嫌な噂を思い出しちまったな」


コンビニの駐車場にバイクを止めて、休憩をする。

最近、運転中のドライバーが運転している自分自身を何処からか見るという現象が多発しているらしい。

これは危険サインだ。

...まあ普通に考えて意識が何処かに行ってしまっているんだ。恐ろし過ぎる。


「よし! 休憩終了だ」


さてさて、楽しい楽しい観光旅行に行きますかね。


...目的地に着いた。

人が多い。

家族連れ。

団体集団。

...それと同じ数の黒い「アイツら」


皆笑顔で楽しんでいるようだ。楽しげな談笑の声が聞こえる。


「※※だよね~」


「※ね」


「※※よう!」


「※ね」


「※※※う」


「※ね」


...帰るか。



20××/01/06 晴れ


時刻は23:50頃。


「...眠れない」


耳鳴りがとにかくひどい。...アイツらもいるな。

相変わらず耳障りな声だ。これでは安眠する事ができない。

俺はベットから立ち上がり、出掛ける準備をした。


「ネットカフェにでも行くか」


最近のネットカフェは防音室を備えている場所なども増えている。

あそこならゆっくりと眠れるはずだ。

それにしても頭がガンガンと痛い。...どうなっているんだ?


しばらく駅沿いの道を歩き、目的地のネットカフェ着いた。


「※※※※※※ませ~」


あれは...。店員、だよな?

俺の目には化け物にしか見えないんだが...。

いや、きっと俺の頭がクスリでダメになっているだけだな。こういう事は過去に何度かあった。


俺はカウンターにいる黒い化け物に席の希望を伝えた。


「防音の個室を使いたいんですが...」


「※※※※※※※ぞ~」


どうやら言葉は伝わったようだ。

よかった。おかしいのは俺の頭だったようだな。


俺はカードキーを受け取り、指定された個室に向かった。

やや重めのドアを開けて、中に入る。

個室の中にはパソコンと小さめのクッションだけが置かれていた。


「よかった。これで休める」


俺は棚の上に置かれていたブランケットを体に掛けて、泥のように眠った。

どうか、この悪夢が明日には目覚めますように。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る