第2話

20××/01/03 雨


「...眠れない」


今の時刻は23:50 気分は最悪だ。

...クソ。またアイツらか?

俺の安眠を妨げる、最悪な存在達の気配を俺は感じていた。


「...俺を見るな」


そいつらの見た目は、かなり異質だった。

黒い靄のような全身にでかい目、小さな口。

そんな化け物みたいな奴が4体、ベッドで横になっている俺を見下ろしていた。


...恐怖はない。

ただただ、強烈な不快感が心の底から溢れていた。


「...俺を見下ろすな」


ノイズのような音と共に、不快な声が俺の耳に聞こえてきた。

この黒い化け物どもの中には、喋る個体もいる。

そいつが現れたときは最悪だ。

何せこいつらは、俺が不快になるような事しか喋らないからだ。


「※※※楽しい?」


「※※食べたい?」


「※戻りたい?」


「何でまだ生きてるの?」


俺の心を不快にさせる言葉ばかりだ。

ギョロリとした目が、こちらをジッと見ている。


「...うるせえな、あと7日ぐらい待ってくれよ」


どうせ世界は終わるんだ。その後は好きにしてくれ。


「あと7日」


「あと7日!」


「たったの7日!」


「ひはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」


長い悪夢のような夜は、まだまだ続く。



20××/01/04 晴れ


押し入れの中に眠っていたゲームを攻略する事にした。

いわゆる恋愛ノベルゲームってやつだ。


「やっぱゲームは最高だな」


ノベルゲームは最高だ。非現実な世界を神様のような視点で楽しむ事ができる。

FPSなどと違い、誰からも邪魔されないというのも最高だ。

たまに不愉快なキャラとかが出てくるが、そんな時は電源を切れば解決だ。


「...楽しいな」


数時間ほどプレイして、ゲームを完全にクリアした。

内容としては幼馴染のヒロインと結ばれてハッピーエンド。よくある話だ。

俺は満足してゲームを終了する。


「※※※※...あと6日だよ」


「えっ!?」


女の声が後ろから聞こえた気がしたので、バッと後ろを振り向くが、誰もいない。


「...またかよ」


恐らくまたあの黒い化け物だろう。

恐れる事はない。どうせあいつらは俺の妄想の産物だ。

気にせず新しいゲームを始める事にした。


「...あと6日か」

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