第三章 人間なんて大嫌い
太陽が真上に輝く頃。
眠っている夏海を残し、白狐は、一旦、小屋に戻り、握り飯を持って戻ってきた。
「夏海。」
白狐が声を掛けると、夏海は、うっすらと目を開けた。
「あっ.........あたし、また寝ちゃった。」
「ほらっ。」
目の前に差し出された握り飯を見て、夏海は、驚いた顔で白狐を見つめた。
「これ、白狐さんが作ってくれたの?」
「形は、歪だけど…味は、美味いから。多分。」
少し照れたように、そう言った白狐に、優しく微笑み夏海は、握り飯を手に取った。
「いただきまーす!」
ガブッと大きく口を開け、握り飯を食べる夏海。
「うん!美味しい!」
「美味しくないだろ、そんなもの…。」
フンと鼻を鳴らし、夏海の隣に腰を下ろし、白狐は、胸元から煙管を取り出し、刻み煙草を詰め火をつける。
「白狐さんは、食べないの?」
夏海の言葉に、白狐は、フッと口元に笑みを浮かべる。
「人間って…面倒臭いな。飯を食わなきゃ、生きられない。」
白狐の言葉に、夏海は、ポツリと呟く。
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