第三章 人間なんて大嫌い
誰かの話し声に目覚めた夏海は、白狐の姿がなく、上体を起こし、辺りを見渡した。
少し離れた所で、人間の姿をした白狐と蛇美が話をしていた。
夏海は、そっと身体を倒し、眠ったふりをする。
「白狐!もう、およしよ。これ以上、人間と仲良くならないで。」
そう言った蛇美に、背を向け、白狐は、黙っている。
「…また、繰り返す気?あの時と同じことを…。」
呟いた蛇美の方を振り返り、白狐は、冷たく言う。
「…俺は、人間なんて、嫌いだよ。」
「だったら、もう.........!」
「放っておいてくれ!俺が何をしようがどうなろうが、おめぇには、関係ないだろっ!」
怒鳴る白狐を悲しく見つめる蛇美。
「あたしは、心配なの…白狐のことが。」
俯く蛇美に、白狐は、クスッと笑う。
「心配しなくても、大丈夫さ。俺は、もう人間なんて、信じないし、好きにもならない。…絶対に。」
しばらく、白狐を見つめていたが蛇美は、軽く息をつくと、背を向け、歩いて行った。
蛇美が去った後、白狐は、近くに咲く名もない花を取り、悲しく見つめる。
「…そうさ。人間なんて、嘘つきだ。」
悲しげな白狐の呟きを聞きながら、夏海は、瞳を震わせる。
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