第二章 魅せられて


「白狐はね.........。」


そう言い掛けて、蛇美は、息を飲んだ。


震える瞳で、自分の後ろを見つめている蛇美に、夏海は、ゆっくりと振り返った。


そこには、白狐が立っていた。


その瞳は、とても冷たく、夏海も息を飲む。


蛇美は、身体を震わせると、ダッと、そこを駆けて行った。


「白狐さん…?」


震える目で見つめる夏海に、白狐は、静かに言う。


「俺は…狐だよ。もう400年も生きてる化け狐だ。.........驚いた?」


夕方の冷たい風が白狐の柔らかい銀色の髪をなびかせる。


夏海は、声が出せず、震える目で、ただ、白狐を見つめていた。


白狐は、続けて、こう言った。


「ついでに言えば、あの見世物小屋は、アヤカシがやってる見世物小屋だよ。」


へなへなと、その場に座り込んだ夏海を悲しく見つめ、白狐は、呟く。


「俺のこと.........怖い?」


強い風が吹き、二人の髪を乱す。


夕日は、沈み、静かな夜が訪れようとしていた。






ー第二章 魅せられて【完】ー

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